アーセナル対エバートンは互いに攻め合うオープンな展開が続いた末に1-1で終了。ベンゲルとマルティネス、両監督の采配が大きく影響した一戦でもあった。
開始から主導権を握ったのはエバートン。サイドでボールを持った時の縦への推進力で、ホームチームの守備ブロックを破壊しようと試みた。特に、左ウイングのピーナールと左SBのオビエドは効果的に連動。ピーナールがカットインすると、絶妙なタイミングでオビエドがオーバーラップしてクロスを送り込む。
また、中央でもバークリーが対面するアルテタに向けて果敢にドリブルで仕掛け、ボックス手前でフィニッシュに絡んだ。ラストパスが雑なため決定的なチャンスには至らなかったが、ボールを奪われても攻守の切り替えは速く、敵を自陣に押し込んでいた。
だが、アーセナルも前半ラスト5分で息を吹き返す。序盤は消えてしまっていたエジルが高い位置で起点となり、絶好調のラムジーが創造性を発揮して次々と好機を演出。それでも43分、45分にMF2人とCFジルーのコンビネーションから迎えたシュートシーンは、どちらもGKハワードの絶妙な飛び出しに阻まれた。ハーフタイム時点でアーセナルのポゼッションは38%。ほぼアウェイチームに支配された45分間だった。
後半序盤は、前半終盤の勢いそのままにアーセナルが試合をリード。53分にはエジルが送ったロングボールをウィルシャーが繋ぎ、ゴール前に飛び込んだカソルラのヘディングがGKを襲う。エバートンも負けていない。55分、カウンターでジャギエルカが攻め上がってバークリーへ縦パス。その絶妙なポストプレーからボールを受けたピーナールが、強烈なシュートで相手ゴールを脅かした。
すると68分、ベンゲル監督はカソルラ、ラムジー、ウィルシャーを思い切ってフラミニ、ロシツキー、ウォルコットに交代。とりわけフラミニ起用の影響が大きく、試合が再び締まる。そして、残り2人が起点となって先制点が生まれたのだ。80分、ロシツキーがシンプルにロングボールを送ると、ファーサイドに流れたウォルコットが頭で折り返す。中央に詰めたエジルが右足で合わせてネットを揺らした。
だが、このまま勝ち切ることはできなかった。79分に投入されていたエバートンのスペイン人ウインガー、デウロフェウが失点の4分後、左サイドからのクロスをボックス内ファーサイドでコントロールすると、対面するギブスをドリブルで揺さぶり、強引に右足を振り抜いたシュートが見事ネットに突き刺さった。
試合終了間際にはジルーにチャンスが訪れたが、シュートはポストを直撃。1-1というスコアであったものの、多くの得点機、両監督の見事な采配など見どころ満載の白熱した上位対決だった。
(文/内藤秀明)
<監督コメント>
アルセーヌ・ベンゲル(アーセナル)
「失点の場面ではファウルとオフサイドがあったはずだ。しかし、あれでゴールを与えてはいけなかった。そして、デウロフェウを称えなければならない」
ロベルト・マルティネス(エバートン)
「序盤から多くのチャンスを作ったが、なかなか物にできなかった。ただ、我われがホームチームであるかのように戦い、アーセナルを苦しめ続けたのも事実だ」