プレビューではラムジーのドリブルが、アーセナルにとってドルトムントの激しいプレス攻略の鍵を握る、と書いた。実際にはウェールズ代表MFは組み立てでチームに貢献することはなかったものの、決勝ゴールという形でアーセナルに勝ち点3をもたらした。
ドルトムントはアーセナルのボランチがボールを持ったタイミングを狙っていた。つまり裏を返せば、アーセナルはこの猛烈なプレスを回避できれば、前がかりになった相手の背後のスペースを突けるということだ。しかし、アーセナルは奪われた時のリスクが高いプレーを選択することはなく、むしろボランチを経由せずに組み立てを行おうとした。
例えば、コシエルニーはボールを持つと、本来ならボランチに一度預けることが多い。それがこの日はSBのギブスにパスを出し、ギブスはダイレクトで2列目のカソルラにボールを送る、というように、アーセナルは最終ラインからボランチを飛ばして2列目へ縦パスをどんどん供給することで、相手守備網をこじ開けようとした。
ドルトムントの守備陣が集中していたこともあり、前半は1本もシュートを打てなかった。とはいえ、さほど危険な形ではボールを失わず、さらに自分たちも積極的なプレスで相手を苦しめたので、相手にもほとんど決定機を与えなかった。
アーセナルにとって最大のピンチは37分。レバンドフスキが潰されながらもボールをブワシュチコフスキに繋ぎ、中央へ走り込んだムヒタリャンへとボールが渡る。ムヒタリャンはフリーでシュートを打ったが、枠をとらえなかった。これ以外に得点の予感がした場面はなく、互いの長所を消し合う停滞した前半だったと言える。
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