近年、タイトル争いの行方に直結するプレミアで最も面白いダービーの一つとなったマンチェスターの決戦。13-14シーズンの第1幕はシティの本拠地エティハド・スタジアムで行われ、4-1でホームチームが勝利を収めた。
前半からほぼシティのペースで、高い技術によるポゼッションと高い位置からのプレスで敵を完全に沈黙させた。ユナイテッドは攻→守、守→攻ともに切り替えが遅く、運動量も少ない。開始から強度を欠いたパフォーマンスを披露した結果、16分に右サイドを崩されて上げられたクロスをアグエロに、前半ロスタイムにはCKのこぼれ球をトゥーレ・ヤヤに押し込まれて2失点を喫した。
攻撃面でも迫力は皆無。この日はファン・ペルシーがそけい部の負傷で欠場したが、それは試合直前に下された決断だったのだろう。そう見て取れるほど、ウェルベックCF起用の強みを生かせていなかった。
例えば、昨季のCLラウンド16、レアル・マドリー戦の第2レグでは、ウェルベックが相手SB裏のスペースを執拗に狙い、チームメイトたちはそこにロングボールを放り込み続けた。彼にサイドの高い位置で起点になってもらうことで、ハイプレッシャーを回避したのだ。しかし、この日はウェルベックに対するそうしたチーム単位での決まり事がピッチ上に見られることはなく、ただただイングランド代表FWが持ち前の身体能力を持て余す、そんな前半だった。
後半に入り、ユナイテッドが何か変わったかというと、ほとんど何も変わらなかった。開始早々の47分にはペナルティエリア内からネグレドが上げたクロスをアグエロに、50分には右サイドを駆け上がったヘスス・ナバスのクロスをファーにいたナスリに決められ、あっという間に4-0。
4点差がついた52分、ユナイテッドは1枚目の交代カードを切る。ヤングをクレバリーに代えてフェライーニを2列目に上げ、攻撃的に出たつもりだったろうが、流れを変えるには至らなかった。大量リードした相手の集中力がやや低下し、攻守の切り替えが遅くなったことでボールを保持できるようになったものの、流れの中では得点できず。ルーニーが87分に直接FKを決めたが、モイーズ監督はエルナンデス、ナニー、香川真司という攻撃的な選択肢を含め、これ以上の交代策を行うことなく90分間を終えた。