「試合後の更衣室で、選手には『相手に負かされたのではなく、自分たちのせいで勝利を逃がした』と伝えた。アーセナルに勝利し準決勝へ進みたかったが、それが叶わず非常に残念だ」
アーセナルとのFAカップ準々決勝。1-2で敗れたルイス・ファン・ハール監督は、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら記者の質疑応答に応じた。第28節を終えたプレミアリーグで首位チェルシー(1試合未消化)に10ポイント差を付けられているマンチェスター・ユナイテッドは、この敗戦で今季の無冠がほぼ決定。百戦錬磨のオランダ人指揮官も、さすがに落胆の色を隠せなかった。
前半は、一進一退の攻防を繰り返した。25分にアーセナルに先制点を奪われるも、その4分後にウェイン・ルーニーのヘディングシュートで同点。ここからホームのユナイテッドが勢いに乗ると思われたが、思惑とは裏腹に試合の流れはアーセナルへと傾いていった。
「ショッキングな失点。学生並みのミス」と解説者のロイ・キーンがこき下ろしたのは61分の失点場面だ。相手のロングフィードに対し、右SBのアントニオ・バレンシアはバックパスで対応。しかし肝心のパスが弱く、昨年夏にアーセナルへ放出したFWダニー・ウェルベックにボールを奪われ、たやすく追加点を許した。
アレックス・ファーガソン前監督時代のユナイテッドなら、ここで踏ん張り形勢を逆転することも少なくなかったが、今のチームからはそうした力強さも伝わってこない。肝心のアタックは単調なロングボール攻撃ばかりで、決定機の数も次第にアウェイチームが上回っていく。
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