残留へ向けて厳しい戦いが続くニュルンベルクは、ホームにレバークーゼンを迎えての一戦。形はどうであれとにかく勝ち点が欲しいニュルンベルクだったが、4位死守のためにやはり勝利を目指すレバークーゼンのしたたかな戦いぶりの前に完敗を喫した。
序盤から主導権を握ったのはレバークーゼンだった。ボールを支配して相手を自陣に押し込みチャンスをうかがうと、16分にはCBスパヒッチがエリア外からミドルシュートを突き刺して先制に成功。失点を防ぐべくラインを下げたニュルンベルクは、ボールを奪いに行けず相手にボールを持たれる時間が長くなっていた。この失点の場面でも相手CKの場面からラインを上げられぬまま、簡単にミドルシュートを許してしまった。
劣勢を強いられたニュルンベルクだが、その中でも清武とFWドルミッチのコンビでチャンスをうかがっていた。7分には中央でボールを受けた清武が1タッチでドルミッチに送ると、スイス代表FWがエリア外からシュート。そのこぼれ球を清武が狙うも、ここはGKレノの反応が一歩速かった。それでも0-1で迎えた25分、清武が中盤でボールをカットすると、パスを受けたドルミッチがFKを獲得。プラッテンハルトが蹴った低い弾道のボールはゴール前を通過してそのままネットを揺らし、ニュルンベルクが同点に追いついた。
ただ、このゴールまでの一連の流れは、ニュルンベルクの攻撃の問題点を浮き彫りにもしていた。それはドルミッチの孤立だ。ボールを奪った清武がドルミッチにスルーパスを送った時、ドルミッチは複数の選手に取り囲まれスピードに乗った突破に移れず、かといってサポートする味方選手もいないため、結局は強引にドリブルを仕掛けるしかなかった。16ゴールを決めている選手ともなれば当然相手は警戒してくる。他の選手がサポートすることでそのマークをはがしたいところだったが、守備の意識を意識して全体が引いた結果として、孤軍奮闘するFWを十分に援護することができなかった。
それでも、ニュルンベルクはドルミッチを前線に残してのカウンターに懸けた。そして後半開始早々、FKをキャッチしたGKシェーファーのパントキックが相手ゴール前でバウンドすると、競り勝ったドルミッチがヘディング。これをGKレノが弾き、こぼれ球を清武が右足アウトサイドで詰めるも再びレノに防がれる。どうしても決めておきたかった決定機を逃すと、直後に再びセットプレーのこぼれ球から勝ち越しを許してしまった。
カウンター狙いだったニュルンベルクは、相手が守備ブロックを整えて慎重な戦いにシフトするとチャンスすら作ることができなくなってしまう。68分には清武を下げてもう1枚FWを投入するも、この采配は裏目に。中盤でボールを引き出す選手がいなくなったことでロングボールに頼らざるを得なくなり、前線にまったくボールが入らなくなって攻撃は完全に機能不全に陥り、終盤にカウンターからさらに2点を失った。
試合終了の笛が鳴ると、スタジアムは負けが続くチームへのブーイングとチームを鼓舞する拍手が交錯。複雑な想いが入り混じった何とも言えないムードに包まれた。
(文/山口裕平)
<監督・選手コメント>
清武弘嗣(ニュルンベルク)
「守備に追われる時間が長かった。正直、内容は良くない。内容も良くない、勝ち点も取れないっていうのはヤバいですけど、もうそんなこと言ってられない。もう内容とかよりもとりあえず勝たないと勝ち点が積み上げられないので、あと3試合死ぬ気で頑張ります」
サシャ・レヴァンドフスキ(レバークーゼン監督)
「我われは前半の立ち上がりの良さをちょっとした気の緩みで台なしにしてしまった。そのことについてはハーフタイムにロッカールームでしっかりと話し合った。それで後半はすべての面において改善された。後半のパフォーマンスのおかげで今日の試合は勝利に値するものだった」