REGULAR

ハリル日本のグダグダ感は情報戦? メディアもファンも試されている

2017.12.18

喫茶店バル・フットボリスタ ~店主とゲストの蹴球談議~


毎号ワンテーマを掘り下げる月刊フットボリスタ。実は編集者の知りたいことを作りながら学んでいるという面もあるんです。そこで得たことをゲストと一緒に語り合うのが、喫茶店バル・フットボリスタ。お茶でも飲みながらざっくばらんに、時にシリアスに本音トーク。

今回のお題:月刊フットボリスタ2018年1月号
「日本と、世界と、革新する戦術

店主 :浅野賀一(フットボリスタ編集長)
ゲスト:川端暁彦


ザックの失敗は手の内を見せ過ぎたこと

川端「まずは今回の特集テーマですが、久しぶりにオーソドックスでしたね(笑)」

浅野「W杯の組分け抽選会に合わせた特集で、久々の時事ネタです。バルディの日本代表分析は面白かったでしょ? ヨーロッパの本物の分析官に日本代表に分析させてみるという企画。実際に本業と同じような流れで分析してくれたそうです、トリノのビデオルームで」

川端「あれは面白かったですね。『人を見るゾーンディフェンス』みたいなキーワードもいいなと思いました。ああいう日本式ゾーンディフェンスを何と呼べばいいのかなと思っていて、『マッチアップ・ゾーンディフェンス』とか『和式ゾーンディフェンス』とか勝手に言っていたんですが、前者だとバスケで違うニュアンスで使われているし、後者だと何だかわからん(笑)。だから松田浩さん(元神戸監督など)は(ヨーロッパで浸透している方を)『ボールを中心としたゾーンディフェンス』という言葉を使って、区別していましたね」

浅野「『日本はゾーンディフェンスの原則がなっていない』と批判されることも多いですが、ハリルのチームは少し違う原則なんですよね。とはいえ、最終的にはもう少し『人を見る』意識を下げた方がいいという指摘はいただきましたが」

川端「逆にあのファジーな感じは『日本人だからできるんだよ』みたいな言い方もありますよね。曖昧を良しとする文化に根付いている。オシムさんは逆に人を見ることをハッキリさせないと、日本人は責任をファジーにしちゃうからという考え方でマンツーマンだったみたいですが。もともと人との距離を詰めたり、接触することを苦手としている文化ですし。欧州人はその逆メンタルだから。ハリルホジッチさんも日本人に希薄なデュエルの部分を意識させたいから、その折衷案として現在の形に落ち着いたのかな、と」

浅野「守備はあらためて1対1のマークを決めているんだなと気づかされました。攻撃はビルドアップのルートが全部サイド経由、5レーンの大外の攻略はアイディアもあるし、優れている。ただしサイドを攻略した後の選択肢がない、という指摘はうなずかされました。問題点が可視化できたというか」

川端「いや、過程として表出してきている問題点なのか、そもそもそこを実装する気がないのかということが、最大の問題点なのかも」

浅野「E-1選手権の北朝鮮戦の記者会見でも、ハリルホジッチ監督は『中央のビルドアップはカウンターが怖いから避けるように言った』と聞かれてもいないのに答えていましたからね。実装する気がないのかもしれないなと思いました、正直」

川端「ない気がします(笑)。3センターハーフの人選にもそれが現われていますよね。後者、サイド攻撃後の選択肢については確かにまだまだ改善できるだろうなと思いますし、ハリルホジッチ監督も改善する気だろうと思ってますが。特にインサイドハーフの飛び出しについては」

浅野「まあ、本番まで半年あるので手の内を見せ過ぎるのは危険だなあと今回あらためて思いました。というのも、バルディに分析をやってもらってわかったけど、プロの分析担当はかなりの精度でチームを丸裸にします。そういう意味では、戦術が丸わかりだったザックのチームは情報戦の時点で負けていたんだろうな、と。逆に言えば狙ってはいなかったと思うんですが、直前で180度戦術を変えた岡田さんのチームは結果的には相手の分析を無効化できたと思います。『あのナカムラという10番をどう抑えるかがポイントだなと半年間やってきたのに、本番であれ?』って。直前まで味方ですらどうなるのかわからなかったから、相手はもっとわからない(笑)」

川端「それは思った(笑)。ファン・ハールのオランダもそうでしたしね。W杯で勝ちたかったら、ああいう大転換でなくとも、戦術的一捻りは最後のトッピングとして不可欠なのかなと思います。ずっと強いチームが勝つんじゃなくて、1カ月間強いチームが結果を残すのがW杯ですから。むしろ指摘を受けたサイド攻撃からのバリエーションとかは最後の最後にやって付け焼き刃でもいいかな、と(笑)。強いCFがいないのに、愚直にハイクロス蹴ってくるだけの“頭悪いチーム”と思わせておいて、という罠を張る」

浅野「実際、ドイツやブラジル、スペインとかの優勝候補以外は情報戦の勝負は大きいと思う。ずっと好調だったチームが本番で転落したり、その逆もあるのは情報戦の勝ち負けもあります。特に(1シーズン通した安定した強さが求められる)クラブでしか実績のない監督はそこが落とし穴になる。その点、アルジェリアでの実績もあるハリルは自覚的なんじゃないかな。バルディもベースのところのチーム構築の完成度は褒めていたし、最後の味付けは本番まで隠すくらいでもいいのかなと思いました。だからもう、ここから本番まではグダグダの無得点試合が続いても我慢するしかない(笑)」

2014W杯でアルジェリアを史上初のベスト16に導いたハリルホジッチ

川端「『これはわざと課題を放置しているのか?』『単に残念監督なのか?』と見ている側が悩ましく迷える日々が約束されていますね(笑)」

浅野「ただ、アタッキングサードの崩し以外のフェーズはかなり完成度高いからね。『わざと課題を放置している』と信じましょう。だるまの目は本番で入れる、と」

川端「画竜点睛を入れる。その点、ディフェンスのやり方を今さら変えるのは難しい気がする」

浅野「ディフェンスはこれでいいかなと思うよ。あとはどう点を取るか、結果が出なくてもチームのモラルを落とさないか、それと前回微妙だったコンディション調整かな。デュエルのカギになる部分なので」

川端「そういう調整能力についてもハリルホジッチさんはちょっと未知数なところがありますよね。あとオフェンスの部分では、バルディさんが指摘していたように個の打開力があるジョーカーをもう1枚というのは確かにある。今のところ伊東純也くらいしか思いつかないけど、この1枚は直前でも問題ないので、来年誰かグイッと出てきてほしい(笑)」

浅野「アルジェリアでは選手の人選を変えることで戦術的なバリエーションを出してきた監督なので、いろんなタイプをそろえてくると思います。例えば柴崎岳とかもそうですし、ジョーカータイプなら乾貴士+伊東かな?あとはフローニンヘンの堂安律とかハンブルクの伊藤達哉、ポルティモネンセの中島翔哉あたりですかね」

川端「選手が代わると言えば、2試合しか見ていないバルディさんにはバレなかったと思うけれど、彼が褒めていた攻撃のメカニズムのほとんどが大迫勇也の能力ありきなんですよね。大迫のサブ不在は僕らの代表が絶対的に抱えているウィークポイント」

浅野「確かにね」

川端「ハリルさんは大迫負傷なら本田圭佑復活を考える気がしている」

浅野「本田のCF起用はあると思います。結局、『本番に強い選手』が必要で、それが誰かと言えば本田なんですよね」

川端「間違いない。でもベンチに置いておくなら呼びたくないという監督の気持ちもわかるかな」

浅野「『日本のために』という想いが強い選手だから『日本にとってこのスタイルでいいのか?』という疑問もあるのかもしれないけど、本番ならば俺は問題ないと思うよ。『自分のため』にワガママを言っている選手ではないから」

川端「俺もそう思うけれど、監督がどう思うかはまた別なのかな、と」

浅野「あと香川真司をどうするかだよね。中央のビルドアップルートを捨てているならいらない、ただビハインドの局面で中央のルートを使いたいならいる。バルディも『サイドのみ』よりは絶対に両方あった方がいいと言っていました。相手にとってはその方が守備が格段に難しくなるから」

川端「本田より香川の方がハリルさんのサッカーとの相性的により難しい気がする。単にビルドアップに中央で絡みながら飛び出してほしいということなら柴崎の方が合うんじゃないかな。もちろんコンディション次第ですけど。香川を使うなら現状の乾みたいな起用法じゃないかと思う。ザックジャパン的起用法だけど(笑)」

浅野「そうなんだよ。香川は柴崎とのチョイスなんだよね。ハリルのサッカーでは柴崎なのかなという気が俺もする」

川端「あとバルディさんの話で面白かったのは、日本の選手がよくやる内から外へのダイアゴナルランをめっちゃ珍しがって面白がっていたこと(笑)。あれはやっぱり日本のオリジナル、ガラパゴスなんだなと自分の中で確信できた」

浅野「『内』→『外』のダイアゴナルランは日本の2トップがよくやる動きですよね。俺は『外』→『内』の決定機に繋がるダイアゴナルランをもっと増やしてほしんだけどね」

変える?隠す?情報戦の勝負になる

浅野「次は組分けも決まりましたし、相手も踏まえたシミュレーションをしてみましょうか?」

川端「個人的には組み合わせ自体よりも、初戦コロンビアという対戦順が嫌過ぎる」

浅野「俺は逆で、コロンビアは今調子が良くないというか、前回ベスト8で高くなり過ぎた国内の期待値にペケルマンのチームが応えられていない。で、初戦は前回楽勝した日本。ここで勝ち点3は当たり前ぐらいの国内の空気感で、曲者ハリルの守備的な日本と当たるのはいかにも流れが悪い。しかも日本の親善試合を見れば明らかに前回より弱く見えるし(笑)。俺は日本に足をすくわれても不思議はないと思う」

川端「いや、俺はさらに逆で、今調子が悪いから引き締めてくるし、さっきも言った(調子が悪いからこそ)『直前で変えてくる』チームに今回のコロンビアがなる可能性がある。別に選手がいないわけじゃないですし。ハリルホジッチさんはしっかり分析して対策を立てるタイプだから裏をかかれかねないな、と」

浅野「国内世論の気は締まらないから、『楽勝ムード』というのはファンやメディアの意見で、それに流される部分は出てくるんじゃないかな。W杯の初戦で気を抜く選手はいないでしょうけれど。ただ、初戦から必勝試合と位置づけられればプレッシャーは重くなる。正面から撃ち合うならコロンビアに分があると思いますが、日本が引いてカウンターを狙うならわからない、という感想です」

川端「まあ、ザックジャパンの時にやったみたいな試合にはならないとは思います。でもコロンビアはやはり嫌だな。個の対決では分が悪い、日本人が苦手なタイプには違いない」

浅野「俺は次のセネガルの方が嫌だけどね。マネのマネできない速さがあるから(笑)」

川端「はい」

リバプールで活躍するセネガル代表の快速ウインガー、サディオ・マネ

浅野「カウンターの撃ち合いになったら向こうの方が分があるかなと。なにせ前線の破壊力が違う」

川端「セネガルは前回のコートジボワールよりはいいんじゃない?」

浅野「いや俺はコートジボワールよりも嫌だな。前線はマネ、ケイタ、ニアングなど速い選手がそろっていて、中盤はイングランドでプレーするクヤテ、グイェ、エンドイェなどフィジカルモンスターばかり。こことハリル戦術の相性はヤバい。デュエルで全部負けそう(笑)。アフリカ勢によくあるポカに期待するしかないかな」

川端「僕がセネガルに期待してるのは、初戦に負けてくれて日本戦では前に出てきてくれることです(笑)」

浅野「確かに日本がカウンターを狙う展開になれば勝てるかもしれない(笑)。一方で、日本はポーランドとはいい勝負すると思います。ヨーロッパの中堅国は得意ですし、日本のアジリティが威力を発揮する相手。香川の調子が良ければ、ポーランド戦でこそ見てみたいです」

川端「ポーランドに勝てるかはわからないし、彼らが弱いなんてまったく思わないけど、過去のいろんな大会を思い出してもアフリカ系の少ない欧州勢とはいい勝負しますからね、日本は」

浅野「俺はセリエA担当なので、ミリクとかジエリンスキとか知っている選手ばかりで軽視はしていないんですが、いい勝負にはなると思いますし、そういう時は下馬評の低い方が有利という経験則もあります」

川端「だからポーランドとは初戦でやりたかった(笑)」

浅野「まとめると2勝1敗でGS突破が俺の予想ということで。負けるのはセネガル、勝つのはコロンビアとポーランド」

川端「俺の予想はコロンビアに負ければ敗退、勝てば突破、かな」

浅野「言い切らない逃げの予想ですね~(笑)。それはさておきベスト16の相手がベルギーかイングランドというのは熱い。イングランドと当たれば国中が盛り上がりますね」

川端「俺たちのイングランドとやりたい(笑)。彼らは真っ向勝負の文化だから、ハリルホジッチさんもやり甲斐あるでしょう。ただ、結局のところ、バルディさんが最後に指摘していたように、現状の日本では戦い方以前の問題として『8強に行くには絶対的に個の力が足りない』という現実もありそうです」

ブラジルvsドイツvsスペインの“宗教論争”

浅野「まあ、半年前はまだ夢を語っていい時期ということで、ポジティブにいきましょう、ポジティブに! ということで、次は優勝国予想もいきましょうか?」

川端「ブラジル! めっちゃブラジル! 今回の本誌での特集もブラジルが優遇されていたので、大変興味深く読めました(笑)」

浅野「ブラジルは強いですね。直接やってあらためて感じました。本誌では『欧州化したブラジル』という表現もしましたが、ペップのチームみたいな組織性があって、しかも選手一人ひとりの判断力があって柔軟。隙のないチームです」

川端「戦術リストランテのコーナーもブラジルでしたね。攻撃時の[2-3-4-1]可変システムは憧れるものがあります(笑)。俺たちもできないかなと思うんだけれど、まず屈強で技術もある3ボランチがそろわない……」

浅野「バルディには日本の両SBは同時に上がらない方がいいと指摘されてしまいましたからね。そこも全体のタレントありきなんだと思いますよ、ブラジルみたいにマルセロやダニエウ・アウベスがいれば両方上げた方がいいですし」

川端「サッカーは将棋じゃないですからね。同じ飛車の役目を振られたとしても、強い飛車と弱い飛車があるので」

浅野「ペップのシティはSBが最終ラインに残ったり、ボランチの位置に行ったり、左右で、さらには試合ごとに相手や状況に合わせて変えていますからね。ブラジルはそういう判断を個人が試合中にできるのが凄い」

川端「あれこそ『個』ですね。ドリブルの突破力が『個』ではない。今のブラジルを見ていると、個か組織かみたいな話がいかに馬鹿らしいものかよくわかります」

浅野「西部さんにやってもらっているWEB版の戦術リストランテで鹿島アントラーズを取り上げた時、『メカニズムとしての戦術的な正解と、試合の流れの中での正解は違う』がテーマでした。勝つためにその場その場で何をするかを考え続けてきたのがブラジルの強さなんでしょうね。不安材料はチームが完成しているので情報戦は不利。そこを跳ね返すのが王者のあるべき姿ですが……」

川端「鹿島は鹿島だから鹿島なのだ、みたいなやつですね。結局、日本人は応用力勝負みたいなところで弱いですからね。東京五輪代表について森保監督も似たようなこと言ってましたよ。『すべてがしっかりプランニングされていて、プラン通りに物事が進むことを良しとしている国で育った選手たちをどう導くべきか』という」

浅野「それはクリティカルというか、深刻過ぎる言葉ですね(苦笑)。鹿島もブラジル的な“その場その場”の強さですからね」

川端「指導者がプランを用意しちゃうと、選手がすがっちゃうんですよね。日本人でも、経験を積んだ監督さんの多くがゲームプランにファジーなところを残すようになりますよね。あれもそういうことかな、と。ブラジルはそういうのがないのが当たり前で前提だからこそ、ああいう選手が育つんでしょうし、一方で戦術家と言われるタイプの監督があまり成功しない、出てこない理由もその辺にありそうです」

浅野「指示するのだったらもっと具体的に、詳細にやるべきという流れもあります。ドイツは完全にそうですね。ナーゲルスマンなど30代前半の新世代監督が出てきていますが、現代表監督のレーブは『ラップトップ監督』のトップランナーです。データや映像を使ったコミュニケーションに優れています。要は自分のサッカースタイルの全体像を構造的に理解できているので、データで数値化できる項目の作り方自体がうまいんです。単に『DFラインを上げろ』と言うのではなく、『DFラインを5m上げろ』とか『このゾーンでは2タッチ以内』とか、指示が具体的で誤解しようがない。で、できなかったらデータを出して説明してくる。ブラジルとドイツの対決が実現したら、“宗教論争”ではないですが、人間的な即興の判断力と、決められた枠組みの詳細を突き詰めた判断力の対決になるので楽しみですね。前回の7-1はブラジルの自滅でしたし」

川端「その対決は実現したら熱い。ブラジルの選手は欧州でラップトップなみなさんの手並みにも触れているので、その壊し方も考えてそうですよね」

浅野「前回がああいう結果に終わったのでブラジル有利とは言えませんけどね。結局ドイツはW杯で強過ぎるので(笑)」

川端「ドイツはオフ・ザ・ピッチでの準備力も凄過ぎる。金かけるし。前回なんて『村』を作っちゃいましたからね(笑)」

浅野「ベストな練習会場がないなら自分たちで作ってしまえ的な発想ですね。プーチンのロシアでどこまでできるか注目ですね」

川端「彼らは勝つためならば、プーチンとも戦うでしょう(笑)。ドイツから学べるのはあの勝利への異様なまでのどん欲さもそうですね。あれは日本にはない。育成年代でもその強烈過ぎる前提があった上での『プロセスを大切にしましょう』ですからね」

浅野「ドイツには国際問題にならない範囲で頑張ってほしいですね(笑)。あと俺が優勝争いでもう一つ注目しているのはスペインです」

川端「その心は?」

浅野「ハリルさんも言っている通り、あと弊誌も前号で『ボランチの危機』なんて特集をしましたが、フィジカルサッカー全盛時代が来ているじゃないですか。その時代に1トップがモラタ、2列目にイスコ、チアゴ・アルカンタラ、イニエスタ、ダビド・シルバという世界屈指のテクニカル集団で挑むのはロマンを感じます。実際、ロペテギ監督になってからのスペインはスーパーチームですよ。流動的な中盤のパスワークは大会最強でしょう。ボールを持つことしか考えていないチームがフィジカルサッカーにどう立ち向かうのかは注目です、EURO2016では倒れてしまっただけに」

川端「あの4人を横に並べてフリーロールで使うというのは面白過ぎますね。木村さんの今回のスペインに関する記事を読んで、映像を見るだけではよくわからなかったところがいろいろと腑に落ちました。でも、まだビッグタイトルで試されていないですよね。しっかり研究して対策してきた時に、果たしてどうなんでしょう」

浅野「今のブラジル、ドイツ、スペインは対策ができないレベルのチームだと思うんですよね。『前からプレスをかけましょう』くらいじゃないですか、ブラジルはそれも簡単にかわしますけど。この3チームが当たった時どうなるかじゃないですかね。戦い方の幅が広いブラジル、ドイツが有利な気もしますが、個人的にはスペインの巻き返しに期待したいです」

川端「W杯予選でマケドニアとかイスラエルに苦戦していたのは決定力不足だったのですか?」

浅野「いや、最後の方はカタルーニャ独立問題で代表チームがゴタゴタしましたからね。カタルーニャ人が多いですから。ピケ、ジョルディ・アルバ、バルトラ、ペドロなど結構います。正直チームの雰囲気は微妙だと思うのですが、だからこそ勝って勢いに乗りたいですね。優勝したら政治的な状況もいい方向に向かう可能性もあります。サッカーにはそういう力もありますしね」


川端
「まとめとしては、今回のフットボリスタを読めばW杯が3割増しくらいで楽しみになるよということでいいですか?(笑)」

浅野「僕らもあらためて各国の情報をまとめ直したんですが、単純にいろいろわかれば試合が楽しみになりますよね。思い入れのできる国も出てきますし、さっきのブラジルとドイツのような人間の判断力とIT化サッカーのような対立軸やカタルーニャ独立問題とサッカーのような政治の問題も興味が出てきます。いろんな意味でW杯を楽しめる一冊だと思うので、年末年始のお供として楽しんでいただければと思います」

川端「読んでるとわくわくしてきますからね。W杯は僕ら拗らせ系サッカーオタクみたいな人種が素のファンに戻ってこられる大会というか、そういう魔法の効果があるなとあらためて思いました(笑)」

浅野「W杯というお祭りを一人でも多くの人に楽しんでもらえるとうれしいですし、僕らがその一助になれれば。今日は長い間ありがとうございました」

●バル・フットボリスタ過去記事

Photos: Getty Images

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Profile

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣『エル・ゴラッソ』を始め各種媒体にライターとして寄稿する他、フリーの編集者としての活動も行っている。著書に『Jの新人』(東邦出版)。