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ボローニャコーチのバルディが語る「教え子」冨安健洋、2年目の成長

2021.02.08

ミハイロビッチの戦術分析コーチとしてサンプドリア、ミラン、トリノ、そして現在はボローニャと、セリエAを舞台に活躍してきたレナート・バルディ。昨季、彼のチームに日本代表の期待の新星が加わった。果たして、新世代コーチの目に冨安健洋はどう映っているのか――『モダンサッカーの教科書』コンビが2年目のシーズンを掘り下げる。

前編では、右SBから左CBへポジションを移した理由や新しいポジションに求められるタスクを解説してもらった。

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「守備的SB<モダンなCB」の資産価値

片野「ボローニャは、昨シーズンを通して『SBとCBのハイブリッド』とでも言うべき右SBに固定してきた冨安を、今シーズンは左のCBにコンバートして開幕に臨みました。昨シーズンの起用法は攻守両局面で彼のクオリティを最大限に引き出す、非常に的を射たものだったと思うのですが、あえて違うポジションで使った理由はどこにあったのでしょうか?」

バルディ「トミがDFとして成長する上で、昨シーズンの経験を違う形で生かす機会を与えたいという理由が1つ。もう1つ、チームの戦力的な事情として彼をCBとして起用する以外の解決策が乏しかったという理由もありました。昨シーズン左CBのレギュラーだったバーニが移籍したため、クラブとしては、スピードとテクニックを備えた現代的で質の高い若手を1人、後釜として補強したいというのが当初の構想でした。そこで、2年前に半年間レンタルで加入し、いい仕事をしてくれたリヤンコ(トリノ)の獲得に動いていたのですが、それがうまく行かなかった。クラブとミステルがチームの構想を練る中で、ではどうするか、となった時に、質の高いCBなら外を探さなくともチーム内にいるじゃないか、ということで冨安の名前が挙がったのです」……

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ボローニャレナート・バルディ冨安健洋戦術

Profile

片野 道郎

1962年仙台市生まれ。95年から北イタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。主な著書に『チャンピオンズリーグ・クロニクル』、『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』『モウリーニョの流儀』。共著に『モダンサッカーの教科書』などがある。

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