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【対談前編】古典のクライフ式vs解釈のグアルディオラ式――バルセロナが戻るべき場所は?

2020.12.24

フットボリスタ・ラボ』発の企画として、バルセロナサポーターのRioSamさんが『ポジショナルプレーのすべて』の著者である結城康平氏に、バルセロナの未来を占ってもらうという対談が実現。迷走する名門がこれからどこへ向かうべきかを話し合った。

前編では、バルセロナスタイルの「原点」とはそもそも何なのかを考えつつ、クーマン就任の意図を読み解いていく。

「オランダ人」クーマン就任の背景

RioSam「本日はありがとうございます。もともとのきっかけは『フットボリスタ・ラボ』の新加入メンバーの歓迎Zoomに参加し、結城さんと会話したことでした。ちょうどバルセロナの未来について、バルササポーターの外からも意見を聞きたいなと思っていました。バルササポーターの意見を聞くと、今のバルサに対してみんな不安に思っている感が伝わってきたので」

結城「そのような流れでしたね。本日はいろいろと、よろしくお願いいたします」

RioSam「さっそくですが、ロナルド・クーマンが就任しました。このタイミングでオランダ人監督、しかもクーマンが来たということの意味について、結城さんはどういう風に捉えられていますか?」

結城「クーマンは元レジェンドということで、バルセロナのDNAを取り戻すには『OB優先』というベースから考えると、シャビ or クーマンの選択肢でしたよね」

RioSam「そうですね、実質は二択のような感じでした」

結城「他には、ポゼッション志向の監督でセティエンが失敗した流れもあったかなと。バルベルデやセティエンとは異なったスタイルの監督で、レジェンドということで白羽の矢が立ったのかなと。もしそれであれば、ちょっと消極的な選択ではありますよね」

RioSam「そんな気はします。クラブ全体で原点回帰したい、という流れがここ数年薄れていたというか、勝てば官軍というようなサッカーになってしまっていた。そんな状況なのでクーマンというレジェンドの求心力でひとまずチームをまとめておいて、『クラブの哲学を取り戻していかないといけない』というような話もありました。ただ、直近のバルセロナが逃れられないのは、ペップの黄金期です。そこを目指して戻ろうとすると、歪になってしまうような気もしています。そうすると、バルセロナが本来目指すべきクラブ哲学の根幹とは何か?という話になってきますよね。これは、ファンの中でも意見が分かれる議論です。シャビやルチョ(ルイス・エンリケ)に言わせれば、『ポゼッションを根幹として、いかにチャンスメイクするのか』というところだと思うんですが、それも形になったのは直近10年くらいなんじゃないかと」

監督としてプレミアリーグで火花を散らしたクライフの弟子2人、クーマンとグアルディオラ

結城「もともとクライフの思想がベース、というのに疑いの余地はないと思うんですが、グアルディオラがそこに加えた解釈は純粋にバルセロナ的な思想ではなかったと考えています。リージョとかメキシコ、ビエルサ、イタリア……。いろいろな影響が混ざったグアルディオラの思想。それはもともとのバルサの思想とは似て非なる解釈であって、どちらに戻るかは判断しなければならないのかなと」

RioSam「なるほど。言語化するとすれば、どういうところが違ったと認識されていますか?」……

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バルセロナ戦術文化

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。