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復原性破壊への挑戦――「対ポジショナルプレー」の攻防史

2021.08.15

2020-21シーズンにプレミアリーグで圧倒的な強さを誇ったマンチェスター・シティを3度下したトゥヘルのチェルシーは、現時点での「対ポジショナルプレー」戦術の極みと言っていいだろう。監督・グアルディオラが表舞台に登場した2008年以降、延々と繰り返され、互いにバージョンアップを重ねていった「対ポジショナルプレー」の攻防史――戦術分析家の五百蔵容氏がその歴史を紐解く。

フットボリスタ第85号』より掲載

 筆者はポジショナルプレーの戦略的・戦術的優位性は、「復原性の高さ」にあると考えています。

 「復原性」とは船舶設計で用いられる概念です。船舶は、一度大洋に乗り出せば千変万化の自然現象(波や風)の影響を受けます。絶え間なく変化する波や風のダイナミズム、その予測困難な気まぐれ、不確実性に船舶は振り回され上下左右に揺らされ続けます。転覆することなく望む針路を進むためには、船体にかかる応力(波、風の強さ)が増した時には揺れ傾き、その力を吸収。応力が減じた時には即座に本来の姿勢に戻り転覆を避ける――こうした船体の均衡を回復する構造が必要となります。

 構造設計によってあらかじめ確保される、どんな状況においても航行可能な均衡状態を取り戻し得る力・性質のことを「復原性」と言います。船舶と同様、「復原性」の高い組織を備えたフットボールチームは、転覆しづらく、様々な状況下でも安定した航行=プレーが可能になるでしょう。

 ポジショナルプレーの戦略的な優位性をもたらすそのような意味での「復原性」は、さしあたり以下のようにまとめることができます。……

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ジョセップ・グアルディオラポジショナルプレーマンチェスター・シティ復原性戦術

Profile

五百蔵 容

株式会社「セガ」にてゲームプランナー、シナリオライター、ディレクターを経て独立。現在、企画・シナリオ会社(有)スタジオモナド代表取締役社長。ゲームシステム・ストーリーの構造分析の経験から様々な対象を考察、分析、WEB媒体を中心に寄稿している。『砕かれたハリルホジッチ・プラン 日本サッカーにビジョンはあるか?』を星海社新書より上梓。