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川崎包囲網――ガンバ大阪が提示した1つの答え【J1第13節G大阪対川崎クロスレビュー】

2021.05.11

5月7日にフットボリスタ・ラボでは、「マッチレビュアー(せこ×ちくわ)サッカーの見方・書き方・伝え方」というイベントを開催。J1第13節ガンバ大阪対川崎フロンターレに合わせて、二人のマッチレビュアーがそれぞれプレビュー記事を書き、その作成法を共有してディスカッションするイベントだ。

今回はそこで議論されたことを踏まえて、二人にクロスレビューを書いてもらった。川崎視点のせこさんに続いて、ガンバ大阪視点でちくわさんが敗者から見た試合のもう1つの風景を提示する。

 「群雄割拠」「戦力拮抗」——。Jリーグの特徴を示す表現として、これらの単語は過去になりつつあります。川崎フロンターレは、DAZNという黒船の来航以降、4シーズンで3度の優勝を果たし、今シーズンも2位を突き放し圧倒的なペースで勝ち点を重ねています。「一強リーグ」に片足を突っ込んでいるこの状況に対し、それを是としない人間が「順当に勝った」という結果だけを受け入れるようでは、この状況を追認しているに過ぎません。結果だけでなく、「プロセス」を評価し繋げていくことが、Jリーグのサイクルを進め、ひいては日本サッカーの進歩に繋がっていくのではないでしょうか。

 と、クロスレビューが企画倒れになりかねないほどの完敗を喫した哀しい強がりで大げさな書き出しになりましたが、本稿では、おそらく他のメディアでは光が当たらないであろう「負けた側のガンバがいかにして川崎を上回ろうとし、いかにしてその企みが頓挫したのか」そのプロセスについて考察したいと思います。

川崎対策の[4-3-3]。試合を“寝かせる”

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ガンバ大阪戦術

Profile

ちくわ

大阪市在住。競技サッカー未経験ながら、ブラジルW杯後長谷部主将の「Jリーグを観てくれ」という言葉を素直に受け入れた結果その魅力にのめり込み今に至る。ガンバ大阪のサポーターであり定期的にマッチレビューを執筆。本業は意識低めの経営企画。心のバンドはナンバーガールとThe Flaming Lips。人生で大切なことはすべて志村貴子の漫画で学んだ。

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