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レアンドロ・パレデス。アルゼンチンの強力FW生かす“ベルベット・タッチ”の使い手

2019.06.19

footballista Pick Up Player

Leandro PAREDES
レアンドロ・パレデス

1994.6.29 180cm / 75kg
MF ARGENTINA

 メッシを筆頭に強力なアタッカー陣を有するアルゼンチンにとって「ボールを供給する」存在は不可欠だ。ルーカス・ビリアやエンソ・ペレスのような総合力に優れたタイプや、クラシックなテクニシャンであるエベル・バネガを擁した2018年W杯では、GS第2戦でクロアチアに惨敗。イバン・ラキティッチ、ルカ・モドリッチ、マルセロ・ブロゾビッチをそろえた「大会屈指の中盤」に翻弄された。

 そしてW杯後、再出発となったチームに定着した一人がこのパレデスである。かつてイタリアの革命児、マルコ・ジャンパオロの指導によって磨かれた24歳は、「プレス耐性」に優れた現代型のMFだ。2015年にマウリツィオ・サッリからエンポリの指揮を引き継いだジャンパオロ。バルセロナのフットボールを自己流に再解釈した“ガレオーネ門下生で最も戦術的に革新的な男”は、極端に狭いスペースでのパス回しで相手を動かし、スペースを生み出すスタイルを志向。サッリが鍛え上げたチームをさらに上の次元へと導くことに成功した。

 短いパスを連続的に繋ぐパスワークの中で、「司令塔」に据えられたパレデスは「状況を一変させる縦パス」で中盤に君臨。前任者だったミルコ・バルディフィオーリの穴を埋めるだけではなくエンポリを牽引すると、翌季は保有権を持っていたローマでプレーし、2017年夏にマンチーニ(現イタリア代表監督)が率いるゼニトに引き抜かれた。

 “ベルベット・タッチ”と称される柔らかいボールタッチと、最小限の予備動作から供給される正確な縦パス。特に相手にコースを読ませないような佇まいとキックの精度は別格で、派手なフェイントを使うことなく、敵のファーストプレスを「目線」や「ボディアングル」で欺き、突破してしまうことも多い。

 チームを落ち着かせる技術にも優れ、CBからの縦パスを受けながら味方が押し上げる時間を作り出す。ゲームを落ち着かせる能力はアンドレア・ピルロにもたとえられるが、静から動に一瞬で切り替える縦パスの質はシャビ・アロンソに酷似している。パスのスタッツではジョルジーニョとも近いが、足裏を多用してのプレス回避は彼だけの武器。狭いスペースに追い込まれても焦らず、エンポリ時代に鍛えた足裏でのタッチを使いながら果敢に突破を狙う。レジスタタイプのMFには珍しく、フィジカル面の強さも魅力的だ。

 守備面では改善の余地もあるが、激しいフィジカルバトルとスピーディーな展開が多いロシアの地で十分なポテンシャルを示したパレデスは、今年1月パリ・サンジェルマンに活躍の場を移した。迎える自身初のコパ・アメリカ。母国の先輩ファン・セバスティアン・ベロンを彷彿とさせるベルベット・タッチで、アルゼンチン代表の中核を担えるだろうか。

Photo: Getty Images

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アルゼンチン代表レアンドロ・パレデス戦術

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。