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RBライプツィヒ進化のカギ握る“マルチロール・モンスター”

2018.03.09

注目クラブの“ボランチ”活用術:RBライプツィヒ


シャビ、シャビ・アロンソといった名手たちが欧州サッカーのトップレベルから去ったここ数年、中盤で華麗にゲームを動かすピッチ上の演出家は明らかに少なくなっている。では実際のところ、各クラブは“ボランチ”にどのような選手を起用し、どんな役割を求め、そしてどうチームのプレーモデルに組み込んでいるのか。ケーススタディから最新トレンドを読み解く。

 ラングニックSDが築いたRBライプツィヒのサッカーは「パワーフットボール」と呼ばれている。ハイプレスをかけ続け、ボールを奪ったら電光石火のカウンターを仕掛け、90分間ダイナミックさを失わないからだ。

 それゆえにボランチに求められるのは、スプリントの爆発力と動き続ける持久力、つまり短距離ランナーと長距離ランナーの能力である。

 こうした適正を満たすのは、大柄な選手よりも小兵の方が多い。実際、現在のレギュラーはデンメが170cmでナビ・ケイタも172cmと2人とも小柄である。中盤にどう猛な猟犬がいるイメージだ。初の1部挑戦にもかかわらず、その爆発力あふれるサッカーでセンセーションを巻き起こし2位に入ったのが昨シーズンだった。

 だが、いつまでも同じやり方が通用するほどブンデスリーガは甘くない。相手がカウンターを警戒して後方に引くようになってボールを持つ時間が長くなり、カウンターとは異なる攻め方が必要となってきた。

 そこで生まれたのが、デンメとケイタの役割分担だ。デンメが後方に下がってDFラインからのパスを引き出し、ドリブルが得意なケイタが裏への飛び出しを狙う。

 ラングニックは戦術変更が必要となるであろうことを予期しており、開幕前にはあえてチームのスタイルとは異なる選手を補強していた。サイドアタッカーのブルマはその代表例だ。

 布陣は[4-2-2-2]と表記されるように、両サイドMFが中央に絞って中央突破を図るのが特徴だ。ボールを奪った瞬間、攻撃者が真ん中に集まって雪崩のように攻めて行く。だが、相手が引いた場合、サイドをドリブルで揺さぶることも必要になるだろう。今季はウイングタイプのブルマを左に起用することで、戦術に変化をつけられるようになった。味方と相手が左サイドに寄れば、ケイタの飛び出しもより効果的になる。

 『シュポルトビルト』誌はこうした変化を「RBライプツィヒは新しいスタイルに適応しつつある」と評価している。

 RBライプツィヒのボランチは、もはやただの猟犬ではない。ゲームメイカーとフィニッシャーの役割を兼任するマルチロール・モンスターになろうとしている。


■注目クラブの“ボランチ”活用術シリーズ
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Photo: Getty Images

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RBライプツィヒディエゴ・デンメナビ・ケイタ

Profile

木崎 伸也

1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。