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“ハイブリッド”スタイルに共通するデータ的傾向とは? 公式スタッツデータで読み解くブンデスリーガのトレンド

2023.08.03

近年、目覚ましい技術革新によりサッカー界でも様々なデータが取得できるようになり、パフォーマンス分析に活用されている。そうした中リーグによって内容は異なるが、公式サイトで公開されるスタッツデータに関しても年々充実してきている。そこで今回は、目前に迫る2023-24の開幕を前に、ブンデスリーガで見られる傾向をスタッツから紐解く。

 現在はゴール期待値(xG)をはじめ新しいデータが次々と生まれているが、本稿で用いるのはブンデスリーガの公式サイトで閲覧可能な2019-20以降のスタッツデータ。読者の方でもアクセス可能なデータを基に、ブンデスのトレンドの変化や注目チームをピックアップしてみたい。

弱まるポゼッションと順位の関連

 最初に注目したいのが、ボール支配率と順位との関係だ。ボール支配率上位9チームの平均順位を見ると、ここ2シーズンは低下傾向にあることがわかる。

ボール支配率上位9チームの平均順位

・2019-20:5.4位
・2020-21:5.4位
・2021-22:6.9位
2022-23:7.1位

一時期ラルフ・ラングニックを祖とするストーミングが猛威を振るったブンデスだが、それでもボール支配率と順位には高い関連性があった。ただ、ラングニック派の勢いがひと段落したここ2シーズン、逆にボール支配率と順位の関連性が弱まっているというのは興味深い傾向ではないだろうか。

 具体的には、ボール保持を志向するボルシアMGが2シーズン続けて10位に終わり低迷した一方で、2022-23にクラブ史上初のCL出場権を勝ち取ったウニオン・ベルリンを筆頭にフライブルクやマインツが、ボール保持にこだわらないスタイルで2シーズン続けてトップ9に入ったことが要因であろう。

 プレッシングの標準化やブロック守備の洗練化が進む中で、ボール支配率と成績との関連性が弱まる流れが今後も続くのか、あくまで先に挙げたクラブたちが継続的に結果を残したことによる一時的なものに過ぎないのか、来たる2023-24シーズンはどんな傾向が出るだろうか。

数字に表れたナーゲルスマン・バイエルンの“ハイブリッド化”

……

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Profile

久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。

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