SPECIAL

レッドブルのDNA、ジャズのような即興、最小限の幅…コンパニ・バイエルンの“フルパワー・フットボール”が秘めるエッセンスを紐解く

2024.10.01

12シーズンぶりに無冠に終わった2023-24からの捲土重来を期すバイエルンが絶好のスタートダッシュを切った。今シーズンから指揮を執るバンサン・コンパニ監督は、いかにしてチームを導こうとしているのか。ピッチ内外の変化、序盤の戦いぶりから見えてきた戦術的アプローチについて分析する。

 今、ヨーロッパにおいて最も強度が高いサッカーをしているのはバイエルンかもしれない。

 38歳のバンサン・コンパニがバイエルンの新監督に抜擢された時は、懐疑的な声の方が強かった。監督としてはまだまだ駆け出しで、バーンリーを2022-23シーズンにチャンピオンシップからプレミアリーグに昇格させたものの、1年で降格させていたからだ。ドイツ一の伝統を誇るクラブの再建を託すにはあまりにも頼りない経歴だった。

 だが、コンパニは結果で雑音をかき消した。

 ブンデス開幕戦でボルフスブルクに2-3で逆転勝利すると、第2節フライブルク戦は2-0で勝利し連勝。瞬く間にチームのカタチができあがり、第3節はホルシュタイン・キールに1-6、第4節はブレーメンに0-5で大勝。その間に行われたCLでもディナモ・ザグレブに9-2で爆勝した。

 ホームで迎えた第5節レバークーゼン戦は1-1で引き分けたものの、ボール支配率69%対31%、シュート数18本対3本、xG 1.32対0.07と内容で昨季の王者を圧倒。レバークーゼンにとって、シュート3本はシャビ・アロンソが監督になってからワースト記録である。

ブンデス第5節レバークーゼン戦のハイライト動画

 試合後の会見で、レバークーゼンのシャビ・アロンソ監督は対戦相手を絶賛した。……

残り:3,468文字/全文:4,156文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

バイエルンバンサン・コンパニ

Profile

木崎 伸也

1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。

関連記事

RANKING

関連記事