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【対談後編】河内一馬×中野崇。「闘争競争理論」と「戦術動作」の融合がもたらすトレーニング革命

2022.05.16

闘争競争理論』の提唱者である河内一馬氏が監督兼CBO(Chief Branding Officer/ブランディング責任者)を務める鎌倉インターナショナルFC(鎌倉インテル/神奈川県社会人サッカー2部リーグ)が2022年4月、スポーツトレーナー/フィジカルコーチの中野崇氏が戦術動作アドバイザーに就任したことを発表。その取り組みや狙いについて、河内氏と中野氏に対談してもらった。

後編では、「闘争競争理論」と「戦術動作」の融合の先にあるトレーニング革命の可能性について考える。

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一緒にやる条件は自分を使いこなせるか否か


――鎌倉インテルが戦術動作アドバイザーを中野さんにお願いすることになった経緯を教えてください。

河内「個人的には、ずっと中野さんにはお世話になってきて、わからないことがあればお聞きするという関係ではあったので、いつか自分のクラブと関係を持たせてもらえたらうれしいなとは思っていました。ただ、やはり予算がとか……(笑)、生々しい話もありますし、プロジェクトとして魅力的でなければ中野さんにオファーを出せません。そういうところで少し足踏みをしていたのですが、僕としても鎌倉インテルで1年監督をやって、長期的なクラブのビジョンやチーム強化の方針がおぼろげに見えてきた中で、中野さんが戦術動作の実践を加速させたいと志向されたタイミングと運良く重なったという感じです」


――中野さんがサッカーの戦術動作に取り組み始めたのはいつ頃なんでしょう?

中野「かなり最近です。思考プロセスとしては、ずっとチーム戦術を実現するためのフィジカルトレーニングと考えていましたが、それがフィジカルの領域のベクトルを縛るものだと気づいたのは最近のことでした。そして、サッカーの『戦術動作』というものがわかりやすい言葉として自分の中にパッと湧いてきて、それを世の中に理解していってもらうには、どうしてもサッカーの現場の監督のアドバイスが必要だったんですね。僕はサッカーの戦術が実行できない要因は8つあると考えているんですが、それは本当にそうかなとか。自分の中でフックになる存在が必要でした。それを確かめられるのは河内さんしかいないと考えて、お願いしました」


――戦術が実行されない8つの要因や先ほど説明していただいた基幹動作など、中野さんの「戦術動作」は非常に体系化された理論だと感じました。ただ、これを生かせる監督は限られるのかもしれませんね。

中野「鎌倉インテルから話をいただく前からすでに、自分の力を発揮できるかどうかは監督次第だと考えていました。『この戦術にはこういう動きが必要だから、中野、頼むぞ』くらいの関係になれなければ、僕のポジションは能力が発揮できないと解釈しているんです。つまり、監督がサッカーの枠組みや構造を同じように捉えていることが、僕が組む監督の最低条件でした。河内さんは、その中でももう本当にしっくりくる存在。僕は監督を慎重に選ぶタイプですが、一番組みたいと思っていた監督が自ら名乗り出てくれたという感じです」

河内「恐縮です……」

中野「振る舞いや物事の考え方も含めて、本当に相性が良かったので、これはお願いするついでに、いろんなものを使って一緒にやる方向に持っていこうと」


――中野さんが一緒にお仕事をしてきたブラインドサッカー日本代表の高田敏志前監督も非常に先進的な思考をお持ちの指導者ですよね。

中野「はい。戦術に対する動作との関係については高田さんに教わりましたね。すごく厳しく要求されました」


――逆にそういう監督でなければ良さが出ない?

中野「その通りです」

東京パラリンピックでブラインドサッカー日本代表を5位入賞に導いた高田前監督

戦術動作の基礎と実践

――リリースを見ると、中野さんの役割は『戦術動作に関する講義、および指導の実施』『身体操作領域におけるコーチングスタッフへのアドバイス』ということですが、あらためて今後の活動について具体的に教えてください。……

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『競争闘争理論』フィジカル中野崇戦術河内一馬

Profile

浅野 賀一

1980年、北海道釧路市生まれ。3年半のサラリーマン生活を経て、2005年からフリーランス活動を開始。2006年10月から海外サッカー専門誌『footballista』の創刊メンバーとして加わり、2015年8月から編集長を務める。西部謙司氏との共著に『戦術に関してはこの本が最高峰』(東邦出版)がある。