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ジェフ千葉の更生。「ハイライン&ハイプレス」から「5-2-3の堅守」へ

2021.10.29

2021シーズンも残り7節と最終盤に差し掛かっているJ2。上位では頭一つ抜け出たジュビロ磐田と京都サンガが勝ち点2差の壮絶な優勝争いを繰り広げ、下位では勝ち点4差にひしめく7チームが残留を目指してしのぎを削っているが、今注目すべきは9位のジェフユナイテッド千葉だろう。直近6試合で5勝1分、10得点2失点と絶好調の要因を、長年取材を続ける西部謙司氏にクラブの戦術史を振り返りながら探ってもらった。

6戦無敗、4戦無失点!絶好調は進歩の証

 ジェフユナイテッド千葉が「良く」なっている。

 9位の分際で何を言っているのかと鼻で笑われそうだが事実なのだ。直近6試合は5勝1分け、4試合はクリーンシートである。

 第35節の東京ヴェルディ戦は5-1だった。ただ、5点とれたのはあまり関係がない。ユン・ジョンファン監督が率いて2年目のチームのウリは「堅守」だからだ。失点31は京都サンガ、ファジアーノ岡山の29失点に次いで少ない。

 つまり、千葉は確実に「進歩」している。

J2第35節、東京V戦のハイライト動画

 何が「つまり」なのか、失点がちょっと減ったぐらいで「進歩」は言い過ぎだろうと思われるかもしれないが、それはこのクラブが歩んできたストーリーを踏まえての話になる。

 近年、千葉が注目されたのは6位でプレーオフに進んだ2017年だろう。フアン・エスナイデル監督の「ハイライン&ハイプレス」が話題になった。得点数でJ2の2位、シュート数は1位という攻撃的なスタイルだった。一方で被シュートも1位。ハイラインの背後をカバーするGKによるダイビングヘッドやジャンプボレーが毎試合のように見られるスリル満点の一大エンターテインメントであった。

 ただ、この時の千葉は別に「進歩」はしていない。

 攻撃に全フリするという特殊な戦い方をしていて、たまたまそれが当たったに過ぎない。次の2018年は14位に終わり、2019年には早々にエスナイデル監督は解任となっている。ハイリスク・ハイリターンのはずが、リスクのほうを対戦相手に見透かされてしまっていた。得点は取れていたので失点を減らせればよかったのだが、あいにくそっち方面には向いていない監督でもあった。

 エスナイデル監督が気の毒だったのは、千葉にはまったく「守備の文化」がなかったということだ。もう少し守れればいいだけなのに、そのもう少しが全然できない。そもそも千葉は降格してから守備を整備した形跡がほとんどない、守備練習すら見る機会があまりないというクラブだったのだ。

 J1時代、イビチャ・オシム監督の時にピークを経験した。しかし、その時のレベルを維持できなかった。降格危機が2年続き、1年目はアレックス・ミラー監督の下で残留したが2年目は降格した。このミラー監督時代に、いちおう守備的なスタイルは経験している。ただ、それで降格したことで印象が悪くなったのか、J2ではほぼ一貫して攻撃的なスタイルを志向していた。同時に、毎年の目標が「昇格」になった。

03年から06年まで千葉の指揮を執り、クラブに史上初タイトルとなるナビスコカップ優勝をもたらすなど、黄金期を築き上げたオシム監督(写真は日本代表監督時代の2006年)

三大昇格阻害要因:守備不整備、昇格ノルマ、監督解任

 守備の不整備と昇格ノルマ。この2つが昇格できない元凶と言っていい。

 これに監督解任が加わると、三大昇格阻害要因になる。J2の同志のみなさん、くれぐれもお気をつけください。

 昇格後のことを考えると、守るだけでは“エレベータークラブ”になってしまう。確かにそうだ。ただ、守備ができなくても同じことである。というか、守備ができないと昇格はできないのだ。……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。