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ジェフ千葉がエスナイデルを留任させるべき10の理由

2018.12.26

心機一転頑張ろう、と思ったらまさかの留任

 タイトルからQolyだと思った? 残念、footballistaでした!

 さて、いきなりですが、2018年における日本サッカー界の最大の出来事はなんでしょうか? ハリルホジッチ日本代表監督解任? 鹿島アントラーズACL制覇? いえ、違います。J2からJ1への昇格チームに我がジェフユナイテッド千葉が含まれていないことです。毎年だろ?って、そうです、毎年なのですが、毎年日本サッカー界最大のサプライズはジェフの昇格失敗なのです。

 毎年のことではありますが、今年は成績もさらに振るいませんでした。順位はJ2降格以来最低の14位、得点はJ2で2位の72点ながら、失点もJ2で2位タイの72点できっちりと帳尻を合わせてきました。そんなところだけきっちりしてどうするのかとも思いますが、好事家の間では「2016年と同等の芳醇な香りの昇格失敗」「みずみずしさが感じられる百年に一度の昇格失敗」「エレガントで酸味と果実味のバランスがとれた上品な昇格失敗」など評判も上々です。

 これが資金力の乏しいチームなら仕方ないのですが、J2では上位の資金力を持っているのにこの体たらくは悲しいところです。しかし、時は止まってくれないので進まなければいけません。OK、では来年また心機一転頑張ろう、というところなのですが、なんと今年指揮を執ったエスナイデル監督が留任してしまったのです。

 過去2年間をフルで指揮、戦力的に見れば当然昇格争いをしていてしかるべきチームをこの順位に沈ませた原因の1つは監督だと推測できますが、来年も継続して指揮させるというのです。なんということでしょう。ハイラインを頑固に堅持し、監督の意図どおりのサッカーが出来ていながら勝てないのならば、それはそもそも設計が間違っているのではないかと思うのですが、いったい、なぜ……? 疑問に思った私はみんなにアンケートを取りました。

 結果としては「アメリカの陰謀」になりました。できればこのままアメリカの陰謀という線で話を進めたいのですが、そうなるとfootballistaよりも月刊ムーのオファーが来てしまうのでここらへんでやめておきます。

 高橋GMは上記の通りインタビューに答えていたのですが、エスナイデル監督を留任させる理由はよくわかりませんでした。ただ、GMとして本心を明かせない可能性もあります。それでは、エスナイデル監督留任の本当の理由とはいったいなんだろう……? 私は自慢の量子コンピューター(メモリ4GB)を用いて推論に推論を重ねました。すると、エスナイデル監督を留任させるべき10の理由が出てきたではありませんか。共通点は「高い」。では、1つずつ見ていくことにしましょう。

1.ラインが高い

 もはやエスナイデル監督の代名詞とも言えるのがこのハイラインです。今年の開幕戦を見ていて「今年もハイラインだ!」と呟いた数分後にラインの裏を取られ、ファウルしたCBの増嶋が退場しました(前半9分)。

2018シーズンのJ2第1節、東京ヴェルディ戦のハイライト動画。退場シーンは1:15から

 そんな苦い思い出がありますが、やはりエスナイデル監督は来年もハイラインを継続するでしょう。ただ、この気持ちはわからなくはないです。ラインを高くして失点と常に隣り合わせのリスクを負う、なんてハードボイルドなのでしょうか。ラインは高ければ高いほどかっこいい、危険な男はモテるのです。かっこいいは正義なので十分に留任の理由になるでしょう。来季もGK佐藤優也のエリア外ダイビングヘッドが見られること間違いなしです。

2.理想が高い

 ジェフ千葉は2017年の終盤に7連勝してJ1昇格プレーオフに進出しました。その際にはラインを下げて堅実な守備を披露していたのです。そのため、今年も同じ選択をするのかと思いきや開幕即ハイラインでした。

 出会って5秒でハイラインです。守備をあえて捨てて攻撃に比重を置く。やはり理想は高く持たなければいけないのです。「1-0で勝つよりも、4-3で勝つ方が美しい」と思っているのかどうかは定かではありませんが、結果的にはその理想を追っています。ロマンを追う美しい姿勢はサポーターに夢を与えるに違いありません。強い留任理由です。

3.エンタメ性が高い

 ラインを高く保ち、攻撃的な姿勢をとり続ければ、自然と得点も失点も増えていきます。2018年にジェフが記録した得点72、失点72は合わせると42試合で144ゴールであり、1試合平均3.4点のゴールを見られることになります。

 もちろん0-0の試合も面白いものではありますが、やはり一般的にはゴールが多い方が試合は盛り上がります。難点はゴールが千葉の失点である確率が50%であるということですが、やむを得ません。エンタメ性が高いと集客も高くなるので留任の理由としては申し分ないでしょう。

4.人徳が高い

 理由は外側からはよくわからないのですが、エスナイデル監督は選手から慕われているようです。続投が決まったあとすぐにチームの中心選手である熊谷アンドリューの契約延長が発表されました。

 選手に人気があるということは選手を集めやすいということでもあるので、人徳の高さ・人望の厚さは重要な留任理由になるかと思います。エスナイデル監督にはさらに努力してもらい、「試合中に相手の右SBが自チームに寝返る」くらいの劉備玄徳レベルまで人徳を高めていただきたいものです。

5.意識が高い

 エスナイデル監督のもう1つの代名詞でもある食事革命は2年間継続しています。味付けしないパスタ、白米禁止、脂身を極力使わないなど、その管理は徹底。実際、これで体脂肪率が下がった選手は多いらしく、一定の効果があるようです。いかんせん成績がついていかない中で食事の制限を続けるのは並大抵の我慢では無理でしょう。意識の高さがうかがえます。留任ですね。

6.株価が高い

 ジェフ千葉のオフィシャルパートナーのJR東日本と古河電工ですが、エスナイデル監督が就任した2016年以降、株価が上がっています。ジェフ千葉はサッカーチームですが、それもスポンサーの支援があってこそ。エスナイデル監督と株価の因果関係は明らかになっていませんが、数字は雄弁に語ってくれています。留任させるwin-winな根拠ですね。

7.背が高い

 エスナイデル監督は背が高いです。と言おうと思ったのですが、180cmでした。原博実さんが183cmなので、それより小さいです。なんか大きく見えるのはオーラがそうさせるのかもしれません。ただ、180cmでも一般的な日本人男性よりは高いでしょう。背が高い利点は遠くを見渡せることです。これは留任ですね。

8.体温が高い

 一般的に日本人よりも欧米人の方が体温が1度ほど高いという話がありますが、実はそうでもないらしいです。ただ、エスナイデル監督は情熱が強いので体温も高そうです。体温が高いと何がいいかというと、近くに寄ると暖かいです。以上です。留任です。

9.「 」が高い

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10.違約金が高い

 これが一番可能性の高い理由ではないでしょうか。契約更新と発表されましたが、おそらく事前に来季の分も契約を更新してしまっていたのでしょう。

 契約が残っている場合、辞任ならば違約金を払わなくて済むのですが、解任となるとかなりの額になってしまう可能性が高いです。というわけで、もちろん推測ですが、切るに切れずに消去法的に今回の留任となった、というのが真相ではないでしょうか。違約金をケチってさらに大損害! ということにならなければいいなあ、と思っています。ただ、最終成績を見てから契約更新を決断したのなら余計にヤバいので、その点に関しては安心できると言えますね。

 この10の理由の中にピンとくるものはあったでしょうか? ただ、これはあくまで私の推論ですので、悪の組織に「エスナイデル監督を留任させないと千葉を爆破する」という脅しを受けているなど、何か思いもつかない合理的な理由があるのかもしれません。

 ともかく、理由が何にせよ、もう留任が決定しているので、2019年も我々はジェフ千葉を応援することしかできません。2019年も厳しいシーズンになるという予想をしていますが、私の予想を裏切って快進撃をしてくれたら手の平を返す準備は万端です。順位が「高い」のは歓迎しますので、昇格目指してがんばりましょう! ジーク・エスナイデル!


Photos: Takahiro Fujii
Edition: Daisuke Sawayama

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Jリーグジェフユナイテッド市原・千葉ファン・エスナイデル

Profile

tkq

世界ロングボール学会(WLBS)日本支部正会員。Jリーグの始まりとともに自我が芽生え、カントナキックとファウラーの薬物吸引パフォーマンスに魅了されて海外サッカーも見るように。たぶん前世でものすごく悪いことをしたので(魔女を10人くらい教会に引き渡したとか)、応援しているチームがJ2に約10年間幽閉されています。一晩パブで飲み明かした酔っ払いが明け方にレシートの裏に書いた詩のような文章を生み出そうと日々努力中です。【note】https://note.mu/tkq

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