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バルセロスと岩尾、早期復帰の「謎」に迫る。徳島新任のフィジオセラピスト、マテウス氏とは何者か?

2026.02.06

2026シーズンの徳島ヴォルティスに新たな仲間が加わった。ブラジル人フィジオセラピストのマテウス氏だ。どうやら彼は昨シーズン、筋肉系のトラブルで離脱していたルーカス・バルセロスや岩尾憲の早期復帰に尽力した人物らしい。「早期復帰ってどういうこと?」――徳島の柏原敏記者に真相を探ってもらった。

 年明け早々、編集部から依頼があった。

 「新任のフィジオセラピスト、マテウス氏(以下、マテウスPT)が何者であるか取材を進めてもらいたい。また、自身のInstagramで公開している“昨シーズンのルーカス・バルセロスと岩尾憲の復帰に尽力した情報”について確認してもらいたい」というオーダーである。

 ここから記者業におけるドラゴンクエストのようなRPGが始まった。

 ぼうけんのしょ をつくる。『徳島ヴォルティス2026 ~新たな仲間を探して~』。

Photo: Satoshi Kashihara

まずは黒部FDに聞いてみよう

 背景から探っていくと「長くトレーナーを務めてくれた鈴木章史さん(2016-2025在籍/現・磐田)、リハビリテーションフィットネスコーチの長谷篤さん(2020-2025在籍/現・柏)がチームを離れることになりました」(黒部光昭フットボールダイレクター/以下、黒部FD)とメディカル陣から2人が他クラブに移る格好で離れた。その部署に新たに就任した人物がマテウスPT 。

 新シーズンの始動に先立ち、新監督・新加入選手記者会見が行われた。マテウスPT を探すが、その場にはいない。まだ合流していないようだ。村人……いや違う、黒部FDから情報を得よう。

 「昨シーズンは彼ら(バルセロスと岩尾)が個人的に依頼する形で見てもらっていたので説明が難しい部分はあります。ただ、事実として確かに予定よりも早くピッチに戻ってきたことは間違いありません。そして、その工程を踏んで戻ってきた後に再離脱もなく、その後も最後までプレーをできたことも間違いはありません。そこが契約するに至った評価の大きな要因の1つにはなりました」(黒部FD)

黒部光昭フットボールダイレクター(Photo: Satoshi Kashihara)

 情報としては本当のようだ。前提をご存じない方にも説明したい。

 昨シーズンの徳島はシーズンを通して昇格争いを繰り広げていた。そして、最終的にチーム最多14得点を挙げたバルセロスが攻撃の軸だった。しかし、そのバルセロスが8月16日に開催された第26節千葉戦の64分に筋肉系のトラブルを抱えて途中交代を余儀なくされる。残り12試合で5位につける徳島にとっては痛手。のちに公式リリースされた情報によると右ハムストリング肉離れで復帰まで受傷日から約8週と表記されていた。カレンダー通りであれば10月11日が復帰見込みだった。

 しかし、実際に合流したタイミングはまったく違った。

 別メニューの様子を見ても早期から動き始めており、4週目を終えた時点で合流し、5週目の週末にあたる9月20日に開催された第30節札幌戦でベンチ入りして復帰も果たした。単に復帰しただけではなく、フルスロットルのパフォーマンスで出場からわずか1分で復帰弾。また、同試合も含めて4試合連続で計5得点を挙げた。近年稀に見る接戦が続いた中で、プレーオフ圏外にこぼれ落ちる未来もあり得た徳島の窮地を救った。そして、10月度の『2025明治安田Jリーグ KONAMI 月間MVP』にも選出されるほどの大車輪の活躍だった。

 謎の早期復帰ではあったが、そこにマテウスPT が関与していたことは知る由もなかった。また、一番の驚きは早期の復帰よりも、復帰直後から離脱前と変わらぬパフォーマンスだったこと。かつ、復帰後によくあるリバウンドもなく、シーズン最後まで走り抜けたことが驚きだった。バルセロスの身体的能力の高さが復帰にも寄与して“ルーカスならあり得るか”くらいにしか思っていなかった。

 そういう意味では、岩尾が復帰できたことの方が驚きと言えるかもしれない。

……

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Profile

柏原 敏

徳島県松茂町出身。徳島ヴォルティスの記者。表現関係全般が好きなおじさん。発想のバックグラウンドは映画とお笑い。座右の銘は「正しいことをしたければ偉くなれ」(和久平八郎/踊る大捜査線)。プライベートでは『白飯をタレでよごす会』の会長を務め、タレ的なものを纏った料理を白飯にバウンドさせて完成する美と美味を語り合う有意義な暇を楽しんでいる。

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