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指導現場で続く、理論を感覚へ落とし込む試行錯誤。岩瀬健と考えるポジショナルプレー(後編)

2021.10.02

9月上旬、「フットボリスタ・ラボ」で開催したオンラインイベントに、元大宮アルディージャ監督の岩瀬健氏が登壇。柏レイソルでアカデミーダイレクターやアカデミーヘッドオブコーチングを歴任し、大分トリニータではトップチームヘッドコーチも務めた経験豊富な指導者と、育成からプロまでの幅広い現場の目線で日本サッカーとポジショナルプレーの親和性を考えてみた。 後編ではハーフスペースという表現、選手の感覚との向き合い方、育成現場におけるポジショナルプレーの位置づけについて語ってもらった。

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「ハーフスペース」という言葉はややこしい?

浅野「実際に5レーンを引いて練習するようなトレーニングは近年増えてきている印象ですか?」

岩瀬「そうですね。育成年代の練習場や試合会場に行くと、他のチームのホワイトボードを見ることがあるんですよね。そこにラインを書いていたり、いわゆるゲームモデルのプレー原則みたいなのが書かれていたり、そういったものは育成の年代でもよく目に入るようになりました。僕も全クラブ見たわけじゃないですけど、育成年代に限らずトップチームでも比較的ポジショナルプレーのような要素を入れた考え方も増えていると思います」

浅野「『ハーフスペース』とか、指導者の方々も使うようになっていますもんね」

岩瀬「そうですね。ただ ハーフスペースという言葉が、若干ややこしくさせている側面もあると感じています。あくまでも仮説になりますが、僕は、選手によって動くものが『スペース』で、レーンのようにピッチの白線に基づいたものが『エリア』と分けて解釈しています。『ハーフスペース』はピッチを縦に5分割した時に中央とサイドに挟まれたエリアのことを指していることが多いと思いますが、白線に基づいた動かない場所を『スペース』と呼ばれていることもあるので、少し戸惑う時があります。ですから、自分が指導している時に『ハーフスペース』という言葉は使ったことがないですね」

浅野「『ハーフレーン』という呼び名ならいいですかね?」

岩瀬「もしも使うならレーンという呼び名になると思いますが、僕は基本的にはレーンで分けてサッカーのプレーを考えるよりも、あくまでもプレーの基準になるのはスペースとして解釈しています。最近では、解説者や指導者、そして現役の選手が5年前にはなかった言葉を使うようになったのはサッカーの発展として素晴らしいですが、ハーフスペースという言葉を共有することで、どれくらいメリットがあるのかを自分自身で整理することも必要だと思います。ハーフスペースという概念によって得られる何かをあまり共有できないまま、言葉だけが独り歩きしていて使われている印象も強いので。ただ、これから日本のサッカーが、もう一個二個何か発展していく時には、すごくいい概念だとは思います」

浅野「実際に、ナーゲルマンはRBライプツィヒでの指導で7レーンを導入していましたからね」

RBライプツィヒ時代に練習を見守るナーゲルスマン。今季からバイエルンを指揮している

岩瀬「僕は7レーンでサッカーを指導したことがないのでわからないですけど、選手は『バランス良く立つ』と言われるよりは、『7レーンを埋められるように立つ』と言われた方がわかりやすい場面もあるかもしれません。あくまでも監督が考えるサッカーを落とし込むための最適な手段として、いくつかのレーンに区切っていると思いますし、重要なのは、レーンに区切ることではなく、チームで何かを共有する目的に対して、最適な手段を作ったり選んだりしていくことだと捉えています」

感覚と再現性のバランスを見出せるか

浅野「日本サッカー全体の課題としては、ダブルボランチが両方とも高めの位置に行ってしまい、カウンターを受けた時にCB2人しかいないというポジションバランスの悪さが目立つ時がありますよね。狭い局面に人数をかけているから独特な崩しができているメリットはありますけど、カウンターを受けた時の立ち位置に関しても5レーンで整理できたりするのではないでしょうか?」……

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岩瀬健戦術

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フットボリスタ・ラボ

フットボリスタ主催のコミュニティ。目的は2つ。1つは編集部、プロの書き手、読者が垣根なく議論できる「サロン空間を作ること」、もう1つはそこで生まれた知見で「新しい発想のコンテンツを作ること」。日常的な意見交換はもちろん、ゲストを招いてのラボメン限定リアルイベント開催などを通して海外と日本、ネット空間と現場、サッカー界と他分野の専門家――断絶している2つを繋ぐ架け橋を目指す。