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トリプルを達成したフリック監督が語る、バイエルンの強さの秘訣

2020.09.21

 昨季、例年に見ない長さのシーズンをトリプル(3冠)で終えたバイエルン。チームを率いたハンジ・フリック監督がそのシーズンを振り返った。監督から見た成功の要因を、9月2日付の『シュポルトビルト』で説明している。

監督とアシスタントコーチの違い

 フリックはドイツ代表のアシスタントコーチとして2014年ブラジルワールドカップで優勝を経験したものの、監督としてビッグクラブを率いるのは初めて。両者の立場の違いを次のように説明している。

 「2014年のW杯では、試合の前も後も比較的リラックスできていた。でも、監督として迎えたUEFAチャンピオンズリーグはまったく違っていた。コーチングスタッフの先頭に立ち、クラブスタッフやチームに対して責任を追う立場にあったからね。当時に比べて、よりインテンシブになった」

 責任の大きさがまったく異なることを明かす一方、シーズン途中から監督になったにもかかわらず、ともにプロフェッショナルとして仕事をしてくれたコーチ陣に感謝を示した。

 「コーチングスタッフ陣とは、みながお互いに充実感を得ながら仕事ができた。私たちは、それぞれが陰でハードワークをしているのを理解していたからね。チームワークは素晴らしく、それぞれが自分たちの長所を完璧に生かしていた。非常に高いクオリティを備えたスタッフたちが、お互いに信頼関係を築いていた」

強さの秘訣は日々の練習

 自身が監督に就任し、冬季キャンプを終えて折り返したシーズン後半は、公式戦26試合で25勝1分と無敗。最高の形でシーズンを終えたが、フリックにとってそれは日々のハードワークの賜物だ。

 そして「選手全員がすべてのトレーニングセッションで見せたインテンシティ、そして集中力には非常に強い印象を受けた」と、バイエルンの選手たちがトップレベルを維持し続けられる理由にも納得したようだ。

 通常のトレーニングはもちろんチーム全体で行い、次の試合の準備や修正といった戦術的な要素も増えるが、それは個々の成長にもつながる。「どの選手も各トレーニングセッションにしっかりと集中し、全力を投じれば、チームとしてだけではなく、個々もそれぞれ成長できる」と説明する。

 シーズン後期、フリックは一度だけ各選手の集中力やインテンシティの不足を理由にトレーニングを中断し、選手たちを帰宅させたが、それも日々のトレーニングセッションの質が結果につながることを実感しているからだ。

意見を聞き、吟味する

 チームスタッフや選手への信頼を口にするフリックだが、それは対外的な言葉ではない。選手たちの言葉からも読み取れるように、フリックはスタッフや選手とのやり取りを重視する。

 「私たちはお互いにたくさんのことを話し合う。そうやって最終的に決断を下すのが監督の仕事だ。監督の立場としては、チームのリーダーとなる選手たちの意見も聞き、他の人たちの考えを聞くことができるほうが好ましい。より根拠を吟味した上で、自分の決断を下せるようになるからね」

 各領域でトップレベルの選手やスタッフと信頼関係を築き上げたことで、当事者意識を芽生えさせた。そうして、それぞれの日々の仕事に充実感を与えたフリックのマネジメントが、バイエルンを成功に導いたのだ。


Photo: Getty Images

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バイエルンフリック

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。