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「ヱスナイデル」という別人?いや、やっぱり…千葉視点で見たエスナイデル・ダービー

2023.08.01

5月29日にフアン・エスナイデルのレノファ山口・監督就任が発表されてから、約2カ月。ついに古巣・ジェフ千葉との「エスナイデル・ダービー」が実現した。このアルゼンチン人指揮官に並々ならぬ興味・関心を持ち続けていた西部謙司氏は、この試合をどう見たのか。

 あのフアン・エスナイデル監督率いるチームとの対戦ということは、すっかり忘れていた。

 そもそもレノファ山口でのエスナイデル監督は堅守のチームを作っているという噂。もうそれでは我々の知っているエスナイデルではない。きっと「ヱスナイデル」という別人に違いなく、そこまで関心を持てなかったということもあるが、相手の監督が誰かなどまったく気にならない試合展開だったのだ。

 千葉は今季初の4ゴールでの快勝だった。

 23分に風間宏矢が先制、33分ドゥドゥ、45分に鈴木大輔と前半だけで3-0。81分には日高大の美しいFKが決まって4-0。山口に付け入る隙を与えなかった。前節も首位の町田に3-1で勝利しており、小林慶行監督が目指してきたサッカーがここにきてようやく形になったということだろうか。

 「スコアは4-0ですが、最初の15分間は相手の強度に押されていました。粘り強くその時間帯を抜け、先制点も取れて流れを持ってこられた。15分間をしのげたのが大きい」(千葉・小林監督)

 確かに最初の15分程度は山口がボールを保持して押し込む流れになっていて、最前線からのプレスではめ込んでくる山口の守り方は、エスナイデル監督のチームらしくもあった。ただ、観ている側としては小林監督が言うほどの危機感は感じなかった。山口の攻撃はクロスボールで終わっていて、ハイクロスに関しては佐々木翔悟と鈴木大輔のCBコンビが跳ね返せる。エスナイデル監督が率いていた時の千葉も、山ほどクロスを放り込んで無得点という試合があったものだ。……

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ジェフユナイテッド市原・千葉フアン・エスナイデルレノファ山口

Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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