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クリーンシート連続の先に待っていた「落とし穴」。山口視点で見たエスナイデル・ダービー

2023.08.01

5月29日にフアン・エスナイデルのレノファ山口・監督就任が発表されてから、約2カ月。ついに古巣・ジェフ千葉との「エスナイデル・ダービー」が実現した。伝統的に攻撃過多な「レノファ山口×エスナイデル」の組み合わせで、なぜか堅守を披露。しかし、この試合では、まったく違う姿を見せることになった。

 まさか、このような結果になるとは……。真夏のフクアリに降って湧いた「エスナイデル・ダービー」は、4-0で千葉が大勝。山口は前半で3点のビハインドを背負い、さらに退場者が出たかと思えば直後のFKで4失点目。完膚なきまでの敗戦を喫し、フアン・エスナイデル監督の凱旋試合は散々な結末となった。

「レノファ山口×エスナイデル」で堅守?

 これもエスナイデル監督らしいと言えるのかもしれないが、この試合の取材申請をした19日時点では、誰もが「聞いていたのと違う」という印象を同監督に抱いていた。就任2戦目から6試合連続でクリーンシートを記録しており、22日の秋田戦でのJ2タイ記録達成と、新記録を懸けた舞台が古巣・千葉戦になるのではという期待があった。

 現実はそうはならなかったわけだが、レノファ山口とエスナイデルという、堅守のイメージからはほど遠い掛け合わせがなぜここまで無失点試合を積み上げることができていたのか。これまでとこれからについて整理してみたい。

 前監督、名塚善寛氏の退任が発表されたのが5月8日。ちょうどリーグの3分の1を消化したところで、3勝5分6敗の18位。14試合で13得点27失点と攻守両面に課題があったが、とりわけ守備の改善が急務だった。

 後任探しが難航して中山元気コーチが暫定指揮を執る中、3週間後についに発表されたのがエスナイデル氏。千葉時代は得点も失点も多い派手な試合を演じてきただけに、期待と不安が入り混じる中での船出となった。

 最初に指揮を執ったのが6月11日の第20節・甲府戦。ただ、エスナイデル氏がチームに合流したのは3日前の6月8日で、代名詞であるハイラインを敷こうとしていたのがなんとなく見えた程度。後半早々に退場者が出たこともあり、監督の狙いや力量どうこう以前の内容と結果になった。次節の仙台戦から無失点試合がスタートしたわけだが、エスナイデル監督がチームに施した修正を見ていこう。

 まずは、プレッシングについて。

 伝統的にプレス志向の山口ではあるが、今季はなかなかそれがはまらなかった。相手ボランチの消し方などを考えすぎているのか、思うように前から行けない場面が目についていた。

 エスナイデル監督の就任以降はさっぱりしたというか、選手から話を聞いていてもマンツーマン志向が強い。ハイプレスの意識を高めたことが再びチームに勢いをもたらし、長所を押し出して弱みを隠すことにもつながっていった。……

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ジェフユナイテッド市原・千葉フアン・エスナイデルレノファ山口

Profile

ジェイ

1980年生まれ、山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』浦和担当に。footballistaには2018年6月より不定期寄稿。心のクラブはレノファ山口、リーズ・ユナイテッド、アイルランド代表。

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