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RBの原点へ回帰。マルコ・ローゼの下で復活したRBライプツィヒの変化に迫る

2023.01.29

不調のチームがシーズン中の監督交代に踏み切るのは恒例だが、ここまで急激に復調する例はそう多くないだろう。開幕からわずか1カ月で監督交代を決断したRBライプツィヒは新指揮官マルコ・ローゼの下で復活。リーグタイトル争いに絡む位置まで浮上している。チームはいったいどのように変わったのか、その変化をとんとん氏が分析する。

 10月以降の公式戦16試合(リーグ戦第18節終了時点)で13勝3分無敗。ブンデスリーガで最も勢いに乗るチームがRBライプツィヒだ。シーズン序盤の不調により解任されたドメニコ・テデスコ監督に代わり指揮を執るのはマルコ・ローゼ。新監督、そしてRBライプツィヒ本来の持ち味であるプレッシングと、中央に人数をかけた素早い攻撃で完全に復調を果たした。

 CLでもシャフタールとセルティックを抑えグループステージ2位で決勝ラウンド進出を決め、ラウンド16ではマンチェスター・シティとの対戦が決定している。

 波に乗るRBライプツィヒが現在どのようなサッカーを見せているのか、好調の要因はどこにあるのか考察していく。

監督交代によるシステムとスタイルの変化

 テデスコからローゼに指揮官が代わり、ピッチ上でわかりやすく変更されたのはシステムだ。テデスコは3バックを採用する監督であったが、ローゼは4バックに回帰。代名詞である[4-2-2-2]でプレッシングをかけるスタイルを採用している。

 プレッシングがかからない場合はセンターサークルの先端まで後退してブロックを組み、プレスをはめ込む機会をうかがう。

 攻撃においてはドミニク・ショボスライやダニ・オルモが務めるSH陣がハーフスペースに絞り、中央に人数をかけて攻め込んでいく。

 4バックに回帰したRBライプツィヒだが、3バックを採用するレバークーゼンとの10月の対戦においては3バック([3-4-3])をぶつけていった。元来ローゼは4バックと3バックを併用する監督であり、3バックに対する際には3バックをぶつけるというオプションも見せ、勝利を収めている(2-0)。ただし、この時は2CHの守備タスクが曖昧で過負荷となり、効果的な守備戦術を見せることができなかった。

プレッシングの肝

 [4-2-2-2]でプレスをはめ込み、ショートカウンターを繰り出すことで得点を狙っていく。前からはめるのが難しい状況の場合は、センターサークル敵陣側先端まで撤退して[4-2-4]の陣を形成し、プレスではめ込むチャンンスをうかがう。狙いは緩いもしくは長い横パス、そしてバックパスだ。このパスをトリガーにプレスをかけていく。RBライプツィヒのプレッシングは中央遮断以外の制限をほとんどかけないが、単純に寄せのスピードが速い。当然だが、ボールホルダーへのサポートのために下がる敵のスピードよりも、こちらが寄せで前進するスピードの方が速ければプレスははまる。そのため、瞬間的なスピードも活かしてプレッシングをかけていく。

 自ら制限をかけてプレスを行う場合、敵SBに渡る時点で2トップが「ボールサイドの敵CBへのバックパス遮断」と「アンカーへのマーク」を行うことが不可欠だ。これが欠けていると、丁寧に繋げるチームを相手にする場合プレスを回避されてしまう。

 こういった制限はアンドレ・シルバが巧く、他の前線メンバーも当然のようにこなすことができる。

 怖いのは、SHの外側から前進されるケース。ハーフスペースをプロテクトし中央を遮断するSHが素早くサイドに移動して寄せていくが、それでも時間を与えてしまうケースは少なくない。サイドから前進して中央を経由する狡猾なチームが相手だと、奪いどころが定まらない状態に陥ってしまう。また、DFライン背後にアーリークロスを送られるとより危険なシチュエーションを迎えることとなる。現状、ここはSHの走力でなんとかする形を取っており、ネガティブなポイントだと言える。

幅より厚みの1点突破型攻撃

……

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RBライプツィヒマルコ・ローゼ

Profile

とんとん

1993年生まれ、長野県在住。愛するクラブはボルシアMG。当時の監督ルシアン・ファブレのサッカーに魅了され戦術の奥深さの虜に。以降は海外の戦術文献を読み漁り知見を広げ、Twitter( @sabaku1132 )でアウトプット。最近開設した戦術分析ブログ~鳥の眼~では、ブンデスリーガや戦術的に強い特徴を持つチームを中心にマッチレビューや組織分析を行う、戦術分析ブロガー。

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