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「ハマのプリンス」から「ヤマのプリンス」になった山田康太、山形での成長でタフさを手にした

2021.11.26

レンタル選手の現在地#3

毎シーズン、多くの若手選手がレンタル移籍で所属元クラブを離れ、将来の開花を見据えて研鑽を積んでいる。レンタル先のクラブのファンはもちろん、レンタル元クラブのファンにとっても動向が気になる未来のスター候補の現状にスポットライトを当てる。

 横浜F・マリノスで「ハマのプリンス」と呼ばれた山田康太は今シーズン、3クラブ目の武者修行に出た。いずれも期限付き移籍で2019年後半には名古屋グランパス、20年には水戸ホーリーホックでプレーしているが、今シーズンの行き先はモンテディオ山形。7月には22歳の誕生日を迎えた。

 昨シーズン水戸では35試合に出場し、3得点1アシスト。プロ入り後、初めてコンスタントな出場を続け、キャリアアップの大きな足がかりを築いた。しかし、今シーズンの山形ではそれを上回る実績を残している。7得点5アシスト。さらに開幕から全試合出場を続けている(第40節時点)。クラブとして目指していたJ1昇格は果たせなかったが、1人のプレーヤーとしては大きな成長を遂げたシーズンだった。

 山形は、昨シーズン後半の躍進で期待が高まり、今シーズンはJ2優勝を掲げて臨んだシーズンだった。しかしスタートでつまずいたことを受け、クラブは9試合を終えた時点で石丸清隆監督を解任。立ち位置の取り方によって相手を動かし、主導権を握る石丸サッカーから貪欲に学んでいた山田にとってもショックな出来事だった。しかしその後、発表された新監督の名前はピーター・クラモフスキー。山田は横浜FM時代クラモフスキーと選手とヘッドコーチという関係だったが、今度は監督と選手の関係になった。不思議な縁が山田の歯車を動かしていく。

暫定監督の下で訪れた転機

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ピーター・クラモフスキーモンテディオ山形山田康太横浜F・マリノス

Profile

佐藤 円

1968年、山形県鶴岡市生まれ。山形のタウン情報誌編集部に在籍中の95年、旧JFLのNEC山形を初取材。その後、チームはモンテディオ山形に改称し、法人設立、J2参入、2度のJ1昇格J2降格と歴史を重ねていくが、その様子を一歩引いたり、踏み込んだりしながら取材を続けている。公式戦のスタジアムより練習場のほうが好きかも。現在はエルゴラッソ山形担当。タグマ「Dio-maga(ディオマガ)」、「月刊山形ZERO☆23」等でも執筆中。

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