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シャルケを超える31戦未勝利…ブンデスリーガにおける タスマニア・ベルリンの悲惨なシーズンについて

2021.05.05

昨シーズン後半からの不振から抜け出せず、実に30年ぶりとなる降格が決定した名門シャルケ。その道中、にわかに注目を集めたのが、彼らがあと1つまで迫った「31試合未勝利」という不名誉なブンデスリーガ記録を長らく保持してきたタスマニア・ベルリン(SC Tasmania 1900 Berlin)であった。首都のクラブがそれを1シーズンのうちに“成し遂げた”のは1965-66のこと。イタリアのWEBマガジン『ウルティモ・ウオモ』に掲載された、そんなリーグ草創期の興味深い昔話をお届けしよう。

※『フットボリスタ第83号』より掲載。

テントウムシとタスマニアの違いは?――テントウムシの方が点(ポイント)が多い。

タスマニアが最後に勝ったのはいつ?――おまえのお爺さんに聞いてみな。

2021年1月9日、ホッフェンハイムを4-0で破ったシャルケ04は、ようやく30試合未勝利という泥沼から脱出し、この不名誉な記録に終止符を打った。最後の勝利はまる1年前、2020年1月17日のボルシアMG戦だった。簡単に言えば、シャルケは悲惨きわまりない1年を送ったということだ。ドイツにおいて、あるチームが不振に陥った時、その不振がどれだけ酷いものかを示す比較の対象は1つしかない。1シーズンに1つのチームが記録し得る、あらゆるワースト記録が詰まったパンドラの箱。したがってもちろん、2020年のシャルケがどれだけ悲惨だったかを知りたい時には、こう尋ねなければならない。1965-66シーズンのタスマニア・ベルリンよりも酷かったのか?

「ベルリン」なしには始まらない

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シャルケタスマニア・ベルリン

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ウルティモ ウオモ

ダニエレ・マヌシアとティモシー・スモールの2人が共同で創設したイタリア発のまったく新しいWEBマガジン。長文の分析・考察が中心で、テクニカルで専門的な世界と文学的にスポーツを語る世界を一つに統合することを目指す。従来のジャーナリズムにはなかった専門性の高い記事で新たなファン層を開拓し、イタリア国内で高い評価を得ている。媒体名のウルティモ・ウオモは「最後の1人=オフサイドラインの基準となるDF」を意味する。

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