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ミラーニューロン――すべては模倣から始まる。脳科学から考えるフットボール

2021.01.26

TACTICAL FRONTIER

サッカー戦術の最前線は近年急激なスピードで進化している。インターネットの発達で国境を越えた情報にアクセスできるようになり、指導者のキャリア形成や目指すサッカースタイルに明らかな変化が生まれた。国籍・プロアマ問わず最先端の理論が共有されるボーダーレス化の先に待つのは、どんな未来なのか?すでに世界各国で起こり始めている“戦術革命”にフォーカスし、複雑化した現代サッカーの新しい楽しみ方を提案したい。

今回は、イタリアの脳科学グループが発見した脳のシステム「ミラーニューロン」について、フットボールの上達メカニズムへの転用の可能性を考えてみたい。

 バルセロナの名手シャビアンドレス・イニエスタは、フィジカルに支配されつつあったフットボールの世界で「判断速度」がフィジカルを無効化する可能性を示した。ヨハン・クライフは「フットボールは、脳を使うゲームだ」とコメントしていたが、それは現代でも変わらない。それどころか、選手の脳内への関心は高まる一方だ。

 マンチェスター・シティを牽引するケビン・デ・ブルイネは好例だ。彼の情報処理スピードは他を圧倒する。ペップ・グアルディオラのチームで攻撃の中核を担うベルギー代表MFは、正しい判断によってゲームのスピードを加速させる能力に長けている。今回は脳科学分野で注目を浴びる1つのワードである「ミラーニューロン」から、現代フットボールにおける判断について考えていきたい。

トップスピードでもプレーの精度が落ちないデ・ブルイネ。ロシアW杯の日本戦では高速ドリブルで約50mを独走。コーナーキックから懸命に戻る日本の選手たちを振り切って、ベルギーの劇的決勝弾を演出した

「ミラーニューロン」とは?

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ジャック・グリーリッシュ育成脳科学

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。