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“太っちょ“から“爆撃機”へ…ゲルト・ミュラーの誕生日に寄せて

2020.11.18

75歳の誕生日を迎えた“爆撃機”ゲルト・ミュラー。現在は病床に伏しているが、バイエルンと西ドイツ代表で一時代を築いた不世出のストライカーに敬意を表し、数々の証言とともにその功績を振り返る。

 2020年11月3日に75歳の誕生日を迎えたドイツの“爆撃機”ゲルト・ミュラー。1964年から所属したバイエルンでは、ブンデスリーガ427試合で365得点。1971-72シーズンには1シーズンで40得点という偉業を成し遂げており、この記録はいまだに破られていない。

 西ドイツ代表を1972年に欧州王者、1974年に世界王者に導いたストライカーは現在、アルツハイマーが悪化し、病の床に伏している。

 ドイツ国内メディアは、ミュラーの75歳の誕生日のタイミングで、彼の活躍を回想する記事を出した。11月4日付の『シュポルトビルト』では、“皇帝”フランツ・ベッケンバウアーの回想を伝えている。この機会に、ドイツの伝説的な点取り屋とバイエルンの歴史を振り返りたい。

 “皇帝”と“太っちょ”

 18歳で小都市ネルトリンゲンから大都市ミュンヘンにやってきた当時のミュラーは、全くの無名選手。機織り職人の訓練を積みながら、地方の小クラブでサッカーをプレーしていた。……

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ゲルト・ミュラーバイエルンフランツ・ベッケンバウアー

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。

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