SPECIAL

「まずは守備から」がナポリの処方箋。ガットゥーゾのクレバーな戦術変更

2020.10.30

クラブ首脳陣と選手が対立する大混乱で不穏な空気になっていたナポリを変えた闘将ガットゥーゾ。その陰にあった、現実的でクレバーな戦術変更を紐解く。

 ナポリを立て直したジェンナーロ・ガットゥーゾ監督。泥臭く走り回る現役時代のイメージからモチベータータイプの監督と思われがちだが、指導者としてはクレバーだ。前任者にして恩師のカルロ・アンチェロッティからチームを引き継いだ後、「DFラインとボールの繋ぎに問題がある」とチームの抱えていた問題を看破。このクレバーでシンプルな評価軸が成功の秘訣だった。

 実際、昨季のナポリの最終ラインは脆弱なものとなっていた。ラインコントロールを担っていたラウール・アルビオルの離脱(ビジャレアルへ移籍)は大きく、対人能力に関しては一流のCBではあるがタイプの違うコスタス・マノラスが入ると組織としての守備が不安定になった。とりわけ、ビルドアップが安定しない。擬似3バックもうまく機能せず、ついにはダビド・オスピナほど足下が得意ではないGKアレックス・メレトにまで不安は伝播した。

 そのためガットゥーゾは、前線に攻撃のタレントを多めに割く目的で採用された[4-4-2]を諦め、守備の際には[4-1-4-1]へと変形する[4-3-3]を構想。つまり最終ラインの前にアンカーを入れて、後方でのビルドアップを補佐しようという考えだ。ジュントリSDに補強のリクエストを出し、結果ディエゴ・デンメとスタニスラフ・ロボツカが冬に加入した。……

残り:505文字/全文:1,125文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

ジェンナーロ・ガットゥーゾナポリ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

RANKING