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守備戦術の洗練、古典復興、サイドの個…リーガに到来した「ポスト・ポジショナルプレー」の時代

2020.10.08

エキスパートが語る、リーガエスパニョーラの5つの戦術トレンド

過去には他国と比較して“美しいサッカー”が愛されるとされた時代もあったリーガエスパニョーラ。だが、ここにきて著しい守備戦術の進歩が起こっているという。スペインの有料WEBマガジン『Tactical Room』の編集責任者で、戦術アナリストを務めるアレックス・デルマスが分析する「ポスト・ポジショナルプレー」時代の新たな戦術傾向とは?

バルセロナが直面する大きな壁

 この5つの中で最も強調すべきは「バルセロナのポジショナルな攻撃の停滞」だ。数年前までのバルセロナ優勢は失われた。タイトルを総なめにしたチームは年を取り個の力が落ちているのは事実だがそれは一面でしかなく、戦術的な理由もある。ポジショナルな攻撃というのは敵陣での選手のポジショニングとスペース分担を指すのだが、バルセロナの場合、数年前から大外に両SBを、内側にウイングを配置するスタイルを採用している。つまり純粋なウインガーを切り捨てた。ネイマールを放出し、メッシを右ウイングに置き自由を与えてからそう組織することに決めたのだ。

 SBを使ったポジショナルな攻撃の弱点はSBの裏にあり、ここを突かれて失点が増えた。つまり攻撃が停滞しただけでなく守備も停滞したのだ。そもそもSBを外から上がらせ局面を打開するやり方には、どんなに攻撃的でもアタッカーではない、という限界がある。自ずと攻撃力は下がらざるを得ないのだ。機能不全を示す面白いデータがある。実は被シュート数は減っている。なのに失点は増えた。どう解釈すべきか? 相手により確実にゴールできるチャンスを作られているからだ。これは相手がバルセロナを知り尽くしている証拠であり、選手がポジションを失っている証拠。バルサのポジショナルプレーは優位性を失ってきた。それがリーグ優勝を逃すという形ではっきり世に示されたのが、2019-20シーズンだった。……

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リーガエスパニョーラ戦術

Profile

アレックス デルマス

選手時代は攻撃的MFとしてセミプロリーグで活躍。バルセロナの名門ヨーロッパでキャプテンを務め35歳で引退するまで25年間プレーを続ける。引退後は監督ライセンス取得の傍ら、戦術アナリストとしてスポーツ紙、一般紙で執筆デビュー。『Tactical Room』ではペラルナウ編集長の下で編集責任者を務める。