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初心者監督・林舞輝の一番長い2週間。 気合的ピリオダイゼーションと「Until I’m happy」

2020.10.01

25歳という異例の若さでJFL奈良クラブの監督に就任した林舞輝。欧州サッカーで最先端の理論を学んできた若者が、日本サッカーの現場でどう戦うのか――毀誉褒貶相半ばする挑戦の行方は、まだ誰にもわからない。

新生・奈良クラブをプレシーズンから追い続けたジャーナリストの川端暁彦氏が、14日間で5試合という過酷な連戦の中で、初心者監督が経験した失敗と成長の記録を綴る。

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<前回のレポートはこちら>
>>25歳の“初心者監督”、林舞輝の初陣。「理論」と「見えないモノ」の狭間で

 試合終了のホイッスルと同時に林舞輝監督の雄叫びがこだまし、選手たちはすべてを出し切った様子で膝に手をつく者もいれば、ピッチに突っ伏す選手もいた。奈良クラブの一番長い2週間は、劇的な逆転勝利という形で締めくくられることとなった。

 今季ここまで無敗だったJ参入争いのライバル・テゲバジャーロ宮崎相手のアウェイマッチ。肉体的には最悪の状態だったし、相手は間違いなく手ごわかった。だが、「見えないモノ」に関しては、もしかすると今季ベストだったかもしれない。そういうゲームだった。

「最初は難しいかも」という中西哲生の予言

 「最初の5試合は難しいものになるかもしれない。舞輝がダメだからじゃない。初めての監督というのは、ベンゲルだってそうだったし、誰だってそういうものだから」

 林監督は、奈良クラブを技術面で支える中西哲生氏から今季が始まる前にそんな言葉を投げかけられていた。その時は釈然としない部分もあったというが、JFLが始まってからの5試合で、その言葉を嫌というほど思い知らされたと振り返る。

 「始まる前から『監督はやってみないとわからないことがたくさんある』といろんな方から言われていて、『まあ、きっとそうなんだろう』と思ってはいたんです。でも本当に『こんなことあるのか』ということだらけ。本当に『やってみないとわからない』のが監督です」

 最初の5試合、奈良の戦績は1勝2分2敗。絶望するような数字ではないが、褒められた結果とは言いがたい。しかも5試合目でチーム屈指のタレントであるMF水谷侑輝が試合開始早々に負傷する(しかも、その流れから失点)という最悪のアクシデントに見舞われた。

 一番負傷者が出てほしくないタイミングだった。ここからはリーグ戦の合間に天皇杯が入り、2週間で5試合を戦うタフなスケジュール。しかもめぐり合わせの悪いことに、ホームゲームはわずか1試合で、仙台と宮崎という前泊必須の遠隔地への旅も含まれていた。

 「この日程で、戦術的ピリオダイゼーションなんてまったく役に立たない」……

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奈良クラブ林舞輝

Profile

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣『エル・ゴラッソ』を始め各種媒体にライターとして寄稿する他、フリーの編集者としての活動も行っている。著書に『Jの新人』(東邦出版)。