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コンテ・チェルシーに見るポジショナルプレーと3人のCBの密接な関係性

2020.04.05

『JUEGO』は欧州サッカーの最先端の知見を韓国、そしてアジアに還元することを目的として創刊された韓国発のインディペンデントマガジンだ。同じ志を持つfootballistaとのコラボ企画としてアントニオ・コンテのチェルシーを題材にしたポジショナルプレーについてのユニークな論考を紹介する。

サッカーでの不文律

 サッカーには不文律というものが存在する。例えばいずれかのチームが特定のメソッドで顕著な成果を収めた場合、それは暗黙のトレンドになる。そして、それを誘発したチームの認知度、達成した成果によってその影響力が及ぶ範囲が決定される。時にはそのトレンドの影響力が非常に巨大になり、サッカーという種目で一つのヘゲモニーとして君臨することを私たちは、過去のいくつかの事例を通じて確認することができる。

 しかし、いくら巨大なトレンドとなってもそのメソッドについて本質的に理解しようとする人たちの数は多くない。近代サッカーで巨大な影響力を及ぼしているポジショナルプレーの創始者であるグアルディオラは自身のプレースタイルを表層的に切り取ったティキ・タカ、あるいはポジションサッカーという概念自体を否定し、自分のサッカーへのアプローチの本質はまったく別にあると言い続けている。だが、まだ大半の人々はこれに対する本質を理解できないまま、使い古された表現を使用して歪曲された方法でこれを理解してしまっている。間違った理解の拡散を防ぐには、盲目的な模倣ではなく、トレンドの出発点となった“母胎”にまでさかのぼって、本質的なアプローチを通じた学習から習得する必要がある。

  「サッカーではあなたを教えることができる本は存在しない。アイディアはこの世界のものであり、私は今まで常に可能な限りたくさんのアイディアを盗んできた。私はスペインから、イタリアから、メキシコから、カタールからアイディアを盗んだ。もしあなたが私から何かを盗みたいなら、盗め」―― ジョセップ・グアルディオラ(2013年5月3日、ブエノスアイレス)

現役時代は計4カ国でプレーしたペップ・グアルディオラ。31歳で13歳から在籍したバルセロナを退団すると、イタリアへ越境しブレシアとローマに在籍。その後はカタールのアルアハリを経て、メキシコのドラドス・シナロアで選手生活に終止符を打った

3バックシステム?

 2010年代中盤以降、ポジショナルプレーとともに再びその流行が戻ってきたのが3バックシステムである。00年代に入って2人のCBを活用する4バックシステムの流行と反比例するようにほぼ姿を隠していたが、また主流になりつつある。その裏にはサッカーという競技へのアプローチ方法自体を変えたと言っていいポジショナルプレーの流行がある。3バックシステムの増加は、ポジショナルプレーに属して現れる現象でもあるわけだ。

 3バックシステムが選ばれている理由は、大きく2つに分けることができる。1つ目は守備の局面で相手のポジショナルプレーを阻止するための、すなわち「ポジショナルプレーへの対応策」として。2つ目は攻撃の局面でポジショナルプレーをより確実に実行するための、すなわち「ポジショナルプレーを最大化するための手段」としての3バックシステムである。......

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アントニオ・コンテチェルシー戦術

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フエゴ

シンクタンクとして韓国、さらにアジアのサッカー談論を発展させる集団。ピッチ内の指導者談論とピッチ外のスポーツ産業談論を深めるべく世界各地を飛び回っている。その一環としてジャーナルを発行するメディア活動をもとに、サッカー外の関係者をアジアサッカーに招き入れ、新たなスタンダードの確立を目指す。「Juego de posición」が意味するように、一つひとつの障害を乗り越えて究極的な目標を成し遂げるために努力している。