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レアル・マドリーのロドリゴにあってビニシウスにないものは?

2020.01.22

 リーガ第15節アラベス戦で、象徴的なことが起きた。ロドリゴの今季の出場時間がビニシウス・ジュニオールのそれを上回ったのだ。ジダンは言った。「ビニシウスにとって状況が異なるのは、今は(エデン・)アザールとロドリゴがいること」と。1年先輩のビニシウスとロドリゴの立場が完全に入れ替わった瞬間だった。

 ブラジル出身で左サイドでのプレーを得意とする、スピードあふれる右利きのウインガーという共通点はあるが、2人はまったく違う選手だ。

 ビニシウスはドリブラー。目まぐるしいリズムチェンジとスピードで、それで駄目なら筋肉質の体でパワフルにこじ開けるように抜いて行く。瞬発力があり瞬時にスピードアップできるので狭いスペースでのプレーを苦にしない。

 一方、ロドリゴは総合的なアタッカー。スペースを探して動きパスを引き出し、ドリブルもあるが固執せず周りを使うインテリジェンスがある。ビニシウスは左サイド以外ではパフォーマンスが落ち、ボールを持たないと長所が生きないが、ロドリゴは味方にボールを預けて、右サイドでも中央でも流れの中で柔軟に動いてボールをもらえる。

 この両者の差を象徴するのがフィニッシュだ。今季の得点数はビニシウスの2ゴールに対しロドリゴは7ゴール。ロドリゴはスペースへ動きラストパスを引き出して、一呼吸置いて頭、両足の最適な部分を使って確実に決める。対してビニシウスはドリブルで抜け出してその勢いのまま、全力で蹴ってしまうので精度を欠く。ロドリゴが間を作れるのに対し、爆発的なビニシウスは急ブレーキをかけると反動で体がブレてしまうのだ。最重視されるのはやはり得点力。ビニシウスには可哀想だが。

レアル・マドリーのロドリゴ(奥)とビニシウス
今のところの序列ではロドリゴが一歩リードしているが、クラブは彼らの母国ブラジルから“ネクストカカー”と称されるレイニエルを獲得。さらには離脱中のアザール復帰も迫っている。ともにまだ20歳にも達していない2人でさえ、アピールのための時間は決して多くない


Photos: Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。