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指揮官の挑戦と決意。ブラジル代表コパ・アメリカ招集メンバー発表

2024.05.17

 5月10日、ブラジル代表の招集メンバー発表会見が行われた。今回は、6月前半のFIFA国際マッチデーにアメリカで行われる親善試合メキシコ戦とアメリカ戦、さらに、6月20日から7月14日にかけてアメリカで開催されるコパ・アメリカのためのチームだ。コパ・アメリカはドリバウ・ジュニオール監督就任後の初めての公式大会となる。

メンバー決定の大前提について解説

 そのドリバウは、昨年10月、11月のFIFAワールドカップ南米予選でブラジル代表が史上初の3連敗を喫した直後に就任し、今年3月の新体制スタート時、親善試合でイングランドに1-0で勝利し、スペインには3-3で引き分けている。

 クラブ監督としての勝者の経歴はもちろん、その代表監督としての船出の結果もあり、現時点、ブラジルメディアやサポーターからは一定の信頼と期待感が寄せられている。そのため、彼の選んだ23人にも、強い批判や反発のような雰囲気は感じられない。

 会見では、この招集メンバー決定における大前提について質問が出た。各ポジションにフル代表経験の少ない若手が含まれていることから、今大会の結果はもちろん大事だが、2026年W杯を睨んだ世代交代も考慮したメンバーなのか。また23人中20人がヨーロッパ組で、国内組が3人のみなのは、大会期間中、ブラジル全国選手権が中断されないため、クラブへの配慮が働いたのか、など。ドリバウの答えは明解だった。

 「純粋に技術的な選考だ。我われはすべての選手を評価しようとしている。年齢や所属クラブも、選手個々の現状以外の何の状況も関係ない。選手の評価には様々なプロセスがあり、今回のリストに入っていないことが、その選手の今後に影響するわけでもない」

カゼミーロ不在についても説明

 注目されたのは、カゼミーロの不在だ。2011年の初招集から長年代表の常連であり、特に2016年のチッチ監督就任以降は、ボランチとしても、リーダーとしても、不可欠な存在としてプレーしてきた。ただ、マンチェスター・ユナイテッドで好調とは言えない最近の状況から、今後の代表における彼の立ち位置について質問が出た。ドリバウは説明した。

 「3カ月前、マンチェスターを訪問してカゼミーロと話し、彼や彼のチームの状況、そして私が必要としていることについて、自分の考えを説明した。現時点で招集されていないからと言って、彼が代表を外された、または今後も外される、という意味ではない」

 「彼は、私が彼についてどう思っているかをよく知っている。また、明日には彼に連絡し、今後の可能性について説明するつもりだ。彼は配慮、愛情、尊敬に値する選手であり、我われはこのレベルの選手のことを信じているからね」

カゼミーロ(右端)やネイマール(右から2人目)らは招集外となった(Photo: Vitor Silva/CBF)

 その他「重傷から復帰したエデル・ミリトン(レアル・マドリー)」「3月の親善試合で2試合ともゴールを決めた17歳のエンドリッキ(パルメイラス)」「ケガからの復帰が待たれるネイマール(アル・ヒラル)の不在において、ビニシウス・ジュニオール(Rマドリー)は主役となり得るか」「リシャルリソン(トッテナム)が外れた理由(※ふくらはぎの負傷)」「唯一の初招集となったエバニウソン(ポルト)」など、多岐に渡った質問は、そのままコパ・アメリカでの見どころにも繋がる。

ビニシウス(左端)には主役級の役割が求められている(Photo: Rafael Ribeiro/CBF)

「選手たちのポテンシャルと能力を信じている」

 選手がベテランから初招集まで、様々な経験値で構成されているのと同時に、スタッフも、ドリバウや代表総合コーディネーターのホドリゴ・カイターノをはじめ、クラブでの優勝経験は豊富なものの、代表での仕事は今回が初めてのメンバーも多い。

 初めての公式大会を戦う上で、勝利と優勝はもちろん、ピッチの内外での最大の挑戦だと考えているのは何かを質問した。ドリバウは答えた。

 「まず、長期間一緒にいられる大会が目の前にある。その中で、このチームは我われが想定しているすべてを身につけることができるはずだ。その答えがピッチの中で出せることを願っている。バランスの取れたチームを作り、できる限り良いパフォーマンスをするために、集中した仕事をするつもりだ」

 「一緒にいる期間という意味では、多分、W杯に非常に近いタイプの大会だ。私は我われが最後の試合まで行けることを願っているし、そのために組み立てたこのチームを信頼している。すべての対戦相手を尊重しているが、我われはブラジル人選手たちのポテンシャルと能力を信じている」

「このチームを信頼している」と招集メンバーへの期待を語ったドリバウ監督(Photo: Kiyomi Fujiwara)

 コーディネーターが、ドリバウの言葉に付け加えた。

 「非常に意義深い期間になる。今日の招集メンバー発表をもって、選手も我われスタッフも、みんながただ一つ、こういう気持ちになってくれることを願っている。『この期間、ブラジルを良い形で代表すること以上に大事なことは何もない』というふうにね。それが挑戦だ。我われはこれをみんなの共通認識にする。私はそうなると確信している」

 「この遠征初日から100%集中し、選手たちやスタッフとともに、良い形で練習を実践する。我われにとって非常に大事なこの大会で、タイトルを獲るために」

 この決意表明とともに、チームはこの後、ヨーロッパ組が5月30日に集合し、国内組が6月3日に合流、6月20日までオーランドで準備合宿を行う。この期間に前述の2つの親善試合を行い、6月24日コスタリカ戦からコパ・アメリカ本番に突入する。


Photos: Vitor Silva/CBF, Rafael Ribeiro/CBF, Kiyomi Fujiwara

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Profile

藤原 清美

2001年、リオデジャネイロに拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特にサッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のTV・執筆等で成果を発表している。W杯6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTube『Planeta Kiyomi』も運営中。

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