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欧州上陸目前の逸材レイニエル。その移籍が議論を巻き起こす

2020.01.17

 2019年7月にフラメンゴでプロデビューしたばかりのレイニエルの、レアル・マドリー移籍が間近に迫っている。現在17歳ながらU-23ブラジル代表が戦う東京五輪南米予選に参加する彼は、1月19日の誕生日にはFIFAの規定によって国際移籍が許される18歳になる。そのため、2月9日の予選終了後にはそのままスペインへと旅立つとされている。

指揮官はクラブへの不満も……

 ここ数年、Rマドリーをはじめリバプールやマンチェスター・シティなど、ヨーロッパのビッグクラブがこの攻撃的MFの獲得を狙っていた。スピードに乗った突破や効果的なパス、アシストもすれば、ペナルティエリアに入ってゴールも決める。彼自身も「体型の似ているカカーをお手本にしてきた。目的意識のあるプレーを心がけている」と語り、カカーがそうだったように、強烈な個性を発揮するよりどのチーム、どんな戦術にも適応して効果的なプレーができるタイプだ。

 U-15、U-17と、年代別代表でも常に主力。2019年のU-17ワールドカップでもスタメンとして戦うはずだったが、フラメンゴでも重要な戦力となっていたため、クラブが代表への合流を拒否したほどだ。

年代別ブラジル代表でも常に主力

 そのフラメンゴのジョルジ・ジェズス監督は、この移籍に関してクラブを批判した。彼の母国ポルトガルのテレビで「フラメンゴは国際的なブランド力を備えたクラブでありながら、その価値を生かせていない。レイニエルのような選手をわずか3000万ユーロで売ってしまうなんて……」と語ったのだ。

 これに対し、クラブの副会長は2019年に3冠を達成した監督の功績を称えながらも「経営面に対する彼の分析は必要ない。ここには選手の金額を議論する部署があり、プロフェッショナルたちがいる」と反論した。

 監督の意見に賛同する声もある。例えば、ブラジル代表でも活躍したリバウドは「これほどのポテンシャルを持つ若い選手が、こんなに安い金額でフラメンゴを去るなんてあり得ない。レイニエルはブラジルでも最高の選手の1人だ。高いクオリティを備えているのに加え、全国選手権とコパ・リベルタドーレスの優勝メンバーでもあるんだから」と語っている。

Rマドリーにとっては“お買い得”

 国内サッカーメディアでも、彼の移籍については大いに議論されてきた。

 「Rマドリーにとっては非常に良い買い物だ。この金額でこれほどの才能を引き抜くことができたのだし、スペインに慣れるまではカスティージャでプレーさせることもできるし、レンタルで出してもいいのだから、賭けの要素もなければ損をすることもない」

「しかも、2018年に移籍したビニシウス・ジュニオールのように、わずか5試合でトップチームに昇格できるほどの逸材である可能性も大きい。その証拠に、試合自体は3部リーグのカスティージャで出場させるが、練習はトップチームに合流させたい、という話だ」

 ただし、その議論の最後はこうなる。

 「ヨーロッパのビッグクラブが、プロになったばかりの若い至宝を次々に引き抜いてしまう。それが良いことであれ悪いことであれ、ここでいくら議論したところでその流れは変わらない」

欧州、そして東京五輪での活躍に期待

 2005年にサントスからRマドリーに移籍したロビーニョは、21歳だった当時から「たとえ若くても、クラブが外国人と契約する以上は“助っ人”を求めているんだから、早くゴールを決めなければならない」と語っていた。挑戦者の立場が許されず、大きな責任を背負って旅立った当時と今では状況も違う。

 レイニエル目当てのスペインメディアも取材に訪れているU-23代表合宿では、アンドレ・ジャルジーニ監督が「伝統的な10番タイプで、楽しみな選手だ」と期待感を語っている。U-23代表には初招集ながら、地元クラブとの練習試合ではアシストやゴールも決め、チームにフィットしつつあるのを感じさせた。明るく素直な性格により、ピッチ外でもチームに溶け込んでいる様子がうかがえる。

 2019年末にインタビューした際には「子供の頃から通っていたマラカナンで、プロとしてゴールを決めたことが2019年最高の思い出だ」と笑顔で語っていた彼の環境は、急ピッチで激変していく。

レイニエルのR・マドリード移籍決定は目前だ

 「今は僕らの目標である五輪出場枠獲得のために頑張りたい」と落ち着いた様子で語るレイニエルの、ヨーロッパと五輪での成功を、ブラジル国民も期待している。


Photos: Kiyomi Fujiwara, Getty Images

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Profile

藤原 清美

2001年、リオデジャネイロに拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特にサッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のTV・執筆等で成果を発表している。W杯6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTube『Planeta Kiyomi』も運営中。