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一時は首位に立ったグラナダのCBは「終着駅にしてチェック役」

2019.11.25

注目クラブの「チーム戦術×CB」活用術

欧州のトップクラブはセンターバックをどのようにチーム戦術の中に組み込んでいるのか。そしてCBはどんな要求に応え、周囲の選手と連係し、どんな個性を発揮しているのか。2019-20シーズンの興味深い事例を分析し、このポジションの最新スタイルに迫る。

#3_グラナダ

 グラナダはフィールドプレーヤー10人が連動したサッカーをしている。昇格組の小クラブで個人技がない分、チームとして格上を驚かせる戦いを見せているわけだ。

 例えば、守備ではオーソドックスに[4-4-2]に変化し、相手のボール出しに対してプレスをかける。奪うための強いプレスの時もあるし、単に楽にプレーをさせないための弱いプレスもあるが、間違いなく行われるのは、最前線の選手が先導すると後ろの選手たちが次々と続いて、ボールを追い込んで行くこと。気まぐれな単独プレスや誰かがサボる、なんてことはない。

 その中でのCBの役割は、プレスに従って最終ラインを上げること。FWとMFが前に出ているのに最終ラインが連動しないと、スペースが生まれて相手に使われてしまう。

 プレスをかけない場合は、相手の攻撃を遅らせるためにパスコースを消し、マークする相手を捕まえて待つ。この時少しずつ後退するのだが、この際もスペースが生まれないよう、下がるスピードと距離を調整する必要があり、それを行うのもCBである。ペナルティエリアまで下がるとそこで踏み止まって人の壁を作って、物理的に味方ゴールを塞ぐ。

 この上下動を率いるのがキャプテンであり、DFリーダーであるヘルマンだ。新加入のドミンゴス・ドゥアルテは相棒の指示に従って動いている。

11月23日の第14節アトレティコ・マドリー戦でモラタを追うドミンゴス

 単独での対応ではヘルマン、ドミンゴスともに巨漢で、強いフィジカルを生かして妥協のないプレー――すなわちぶつかり合いであり大きなクリアである――を見せる。

 攻撃時は、前がかりのチームに合わせてラインを上げる他、相手のFWをケアしておく。マイボール時でも両SBがそろって高い位置取りをすることはないし、2ボランチも少なくとも1人は残しているので、相手アタッカーに対して間違いなく数的有利になっている。

 ボール出しの際は、隣のSBにシンプルに預ければお役御免。SBは前のウインガー、横のボランチと連係しボールを運ぶ。サイドからの前進にこだわっているのは、ボールロスト時のカウンター対策でもある。ボール出しにプレスをかけられた時は、左右のウインガー目がけてロングボールを入れる。マチス、プエルタスはスピードがありうまく行くとパスが通って大チャンスになるし、敵陣でスローインでの再開なら怖くないからだ。

 チームとして何も特別なことはしていないが、全員が規律正しく行動している。CBは連動の終着駅であり、チェック役でもある。

首位に立った第10節後に3連敗を喫し順位を落としたが、写真の第14節ではアトレティコ相手にドロー。2-0でアップセットを演じた第5節バルセロナ戦に続き3強から勝ち点をもぎ取ってみせた


Photos: Getty Images

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グラナダ戦術

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。