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ミシェル・プラティニは現代サッカーでも通用するのか?

2018.10.05

戦術のエキスパート、西部謙司氏がシミュレーション


※この記事は『ポケットサッカークラブ』の提供でお届けします。

ユベントスやフランス代表での活躍により3年連続でバロンドールに輝いたミシェル・プラティニ。日本人にとっては85年に来日を果たしたトヨタカップでの鮮烈なパフォーマンスでも記憶される“将軍”がもし、進化を続ける現代サッカーに蘇ったとしたら通用するのか――戦術のエキスパートである西部謙司さんにシミュレーションしてもらった。


 9番か、それとも10番か――ナンシー、サンテティエンヌで活躍していたころのミシェル・プラティニには、ストライカーなのかプレーメイカーなのかというポジションをめぐっての議論があった。やがて、プラティニ自身がこの議論に終止符を打つ。結論は「9.5番」だった。

 ゲームを組み立てて点も取る。同時代のスーパースターであるディエゴ・マラドーナやジーコも「9.5番」だ。ただし、マラドーナとジーコにポジションの議論などなかった。ヨーロッパの「9.5番」は南米では10番で、もともとこの役割とポジションは確立されていたからだ。

 ただ、プラティニのポジションが議論になった理由はそれだけではないと思う。

 ゲームを組み立てる時もゴールを狙う時も、マラドーナはマラドーナでジーコはジーコだったが、9番のプラティニと10番のプラティニはまるで別の選手のようだったからだ。


共存する矛盾

 10番のプラティニは接触プレーを極端に嫌うように1タッチ、2タッチでボールを離す。そして、機を見て敵の急所を刺すロングパスをピンポイントで供給した。一方、9番の方のプラティニはフィジカルコンタクトを恐れず、球際の勝負や空中戦にも強く、貪欲にゴールを狙った。TPOをわきまえたプレーぶりとも言える。

 一方で9番と10番、いずれのプラティニにも共通していたのが類希なセンスだった。

 右足のアウトサイドに引っかけた強烈なシュートが得意だったが、フックさせた柔らかいループ気味のシュートもあり、左足でもヘディングでも得点した。それが必要な瞬間に最適のプレーを選択する。「2本に1本は決まる」と言われていたFKも、ニアポストとファーポストのどちらも狙っていて、インサイドで曲げるだけでなくアウトサイドでスライスするボールも蹴っていた。壁の位置やGKの動作を計算しながら蹴り分けていたのだ。

 この抜群のサッカーセンスがなければ、プラティニはバロンドールを3年連続で獲るようなスーパースターにはなっていなかっただろう。足は遅くないが特別に速くはないし、コンタクトプレーも弱くはないが頑健でもない。フィジカル能力については平均より少し上という程度に過ぎなかった。

 トヨタカップで、ボールリフティングで敵をかわしてボレーで決めた「幻のゴール」(オフサイド判定で無効)が有名だが、この試合で印象に残っていることが他に2つあった。

1985年のトヨタカップ、対アルヘンティノスでの「幻のゴール」

 1つはサイドからのFKで、ゴール前にハイクロスを入れようとした時。助走の途中で、プラティニはなぜか誰もいないタッチラインの方向をちらりと見ていた。そんなところを見ても何もないのに、確かに一瞬そこを見たのだ。他のプレーもすべてそうだが、プラティニは周囲の状況をよく見ている。あらゆる情報をインプットしているから、あのTPOにぴったりのプレーが弾き出されるのだろうが、およそ見ても意味のない場所まで見ていたのは恐さすら感じた。

 もう1つは試合前のウォーミングアップ。プラティニは一番にボールとともにフィールドに飛び出してきた。とても楽しそうに、これから公園で遊ぶ子供のように出てきたのが印象的だった。

 1、2秒の間にいろんな場所へ目を走らせている張り詰めた緊張感と、無邪気な遊び心が同居しているのがプラティニの魅力だ。エレガントなプレーメイカーであり、野性的なストライカー。気むずかしさとユーモア、ぶっきらぼうなのに機転が利く……相反する要素が平然と共存していた。


「9.5番」生かす変則布陣

 80年代のスーパースターが現代のサッカーでそのまま通用するかどうかはわからない。当時からスタミナ不足と批判されていて、守備の貢献度が低いとも言われていた。フィジカルエリートではないプラティニに現在のチームに居場所があるかと言えば、正直疑問はある。ただ、右足のキックは一級品であり、何よりもインテリジェンスの凄さは時代を問わず必ず武器になるはずだ。意外と現代サッカーにもすんなり適応してしまいそうな気もする。

 プラティニの能力を最大限発揮させることを考えると、フランス代表での変則的なフォーメーションになるだろう。

 ミシェル・イダルゴ監督に率いられたフランスは当初[4-3-3]だったが、1982年W杯の途中で[4-4-2]に変わっている。プラティニ、アラン・ジレス、ジャン・ティガナ、ベルナール・ジャンジニのテクニカルなMF陣は、84年に優勝したEUROでジャンジニがルイス・フェルナンデスに代わったものの、プラティニ、ジレス、ティガナによるコンビネーションとパスワークの華麗さはヨーロッパ随一だった。

アラン・ジレス(左)、ジャン・ティガナ

 変則なのは、2トップのドミニク・ロシュトーとディディエ・シスはどちらもウイングプレーヤーで生粋のストライカーではなかったところにある。2トップがサイドに開くCFがいない形で、得点力のあるプラティニ、ジレスが中央へ入って行く特殊なフォーメーションだった。ジャン=ピエール・パパンはまだエースではなく、ベルナール・ラコンブという点取り屋はいたが、中盤の4人が確定してからはプラティニが得点源になっていた。「9.5番」の特性を生かすためにカギになるのはプラティニへパスを供給するジレス役と、前線のスペースを空けるとともにプラティニのパスをゴールに変えられるウイング、そして2人の10番を支えるティガナの役割だ。

 小柄な相棒ジレス役にはシャビ・エルナンデスが良さそう。ティガナ役にはエンゴロ・カンテがぴったりハマる。ついでにフェルナンデス風のハードワーカーとしてスペイン人のサウールを抜擢したい。

 ウイングはリバプールのコンビ(サラーとマネ)。SBには彼らとの相性を考慮してリバプールの2人がいいだろう。GKとCBは世界チャンピオンのロリス、ウムティティ、バランの3人で固める。

 プラティニのパスで快足ウイングを走らせ、フィニッシュにもプラティニが絡む。ゲームメイクはプラティニとシャビのコンビをカンテ、サウールがサポート。5人がフランス人でマネもフランス語がわかるのでコミュニケーションも悪くない。プラティニが作り、プラティニが決める。プラティニ仕様のチームである。

現代に蘇ったプラティニを生かすこの「エレガントP」は10月中旬よりポケサカ内「フォーメーションSHOP」に登場!お楽しみに!!


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配信元:NewsTech Inc.


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Photos: Getty Images

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フランス代表ポケサカミシェル・プラティニ

Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。