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グリーズマンは、アトレティコの仕事人。“5タッチ”以内で仕留める能力とは

2018.04.16

D.コスタの常に後ろで縦横無尽


Antoine GRIEZMANN
アントワーヌ・グリーズマン

1991.3.21(26歳) 174cm/72kg FRANCE


 通常は[4-4-2]の右トップ、押し込まれた時は[4-4-1-1]のセカンドトップがグリーズマンの定位置だ。バルセロナやレアル・マドリー相手で押し込まれることが予想される場合は、最初から[4-4-1-1]のセカンドトップでプレーすることもある。プレスに忠実で動けるグリーズマンの守備は計算できるからだ。相棒がジエゴ・コスタでもフェルナンド・トーレス、ガメイロでも彼の立ち位置は常に2番目。下がって来てMF化してパスワークにも絡めるし、トップ下的にアシストも出せる。さらに19ゴールの得点力についてはあらためて説明するまでもないだろう。トップにコンバートされFK、PKキッカーも任される万能アタッカーに変身した今の彼からは、ソシエダ時代の左ウインガーに過ぎなかった姿は想像できない。

 アトレティコ・マドリーの必殺パターンは素早い攻守の切り替えからのカウンターにあり、グリーズマンはここで決定的な役割を負う。味方がボールを奪った瞬間、D.コスタはサイドに流れ、小柄な選手が多い相手右SBの背後を襲う。グリーズマンは相棒が押し下げた最終ラインの前のスペースへ侵入する。

 ここで味方がロングボールをD.コスタに入れることを選択すれば、グリーズマンは近づいてセカンドボールを拾いに行く。このセカンドボールのもらい方によって、彼にはそのままシュート、D.コスタとの壁パス、近くの仲間にいったん預けてゴール前へ飛び出すなどの選択肢が与えられる。もう1つのオプション、味方が自分にボールを渡すことを選択すればワンタッチで反転、まず裏へ飛び出すD.コスタへのスルーを探し、駄目ならサイドから上がって来ているはずのウインガーまたはSBに預けてゴール前へ走り込むセンタリングを待つ(D.コスタとグリーズマンの役割はまれに交替することがある)。どのオプション、いずれのパターンを選んでもインターセプトから5タッチ以内でフィニッシュする、というのが基本的な考え方だ。

 速攻がうまくいかなかった時、相手が引いてチームがポゼッションしている時が、グリーズマンがD.コスタと同じ高さに並ぶ唯一の瞬間である。両SBが上がり切っていてサイドに流れるスペースはなく、相手ゴール前にも人の壁が築かれているはず。この状態になって初めてシメオネのチームはショートパスによる遅攻を試みる。バックパスで相手をおびき寄せたり、ドリブルでボールを動かしながらポジションチェンジをしマークをずらそうとしたり。技巧派のコケやサウール、トーマス、フィリペ・ルイスが守備担当のこのチームのパス回しは実は非常に巧みである。グリーズマンは喜んでこの“鳥かご”に参加し、ギャップ作りに協力することになる。

Photos: Getty Images

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アトレティコ・マドリーアントワーヌ・グリーズマン

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。