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伝統の攻撃に守備をミックス。チーム・ロナウド、これが理想的

2018.03.23

チーム戦術新解釈 攻⇄守4局面解説#5

5月14日に締め切られるロシアW杯予備登録メンバー(35人)提出前最後の代表戦となり、選手にとってもチームにとっても重要な意味を持つこの3月のインターナショナルマッチウィーク。着々と準備を進めている強豪国がどんな戦い方を志向しているのか、「攻撃」と「守備」だけでなく「攻から守への切り替え」「守から攻への切り替え」も含めた4局面にフォーカスして分析。各国の仕上がりをチェックする際の参考にしてほしい。

PORTUGAL
ポルトガル

予選:9勝0分1敗
3.2得点0.4失点(1試合平均)
監督:フェルナンド・サントス
63歳|ポルトガル
14年9月就任


 EURO2016でポルトガルを欧州王者に導いたフェルナンド・サントス監督は、ブラジルW杯でギリシャを16強に進出させた実績があり、ポルトガルが持つ攻撃的な伝統に守備のバランスをミックスした戦い方で世界王者を目指す。最大の強みはやはり、ロナウドだ。持ち前の決定力は健在で、偉大なキャプテンとしてチームを心身で牽引する存在である。守備や上下動の負担を減らし、彼の持ち味を最大限に発揮させる意味で、現在の基本システム[4-4-2]のFWは理想的なポジションだ。その相棒を担うアンドレ・シルバ(ミラン)は1トップもこなす屈強なCFタイプだが、代表ではより幅広いハードワークを求められている。

両CFの決定力を生かすカウンターサッカーをさらに磨き上げたフェルナンド・サントス監督

 サントスが母国代表に植え付けた組織的な守備は状況に応じて高い位置、中間、低い位置のブロックを使い分けるものだが、列強国の中ではドイツやスペインに比べて重心が後ろ寄りだ。サイドMFは敵のビルドアップに対してあまり深追いせず、ボランチもCBとの距離を狭くしてバイタルエリアでボールを持たせない状況を作る。強引にボールが入ってくれば対人能力の高いCBのペペ(フェネルバフチェ)やフォンテ(大連一方)、ブルーノ・アルベス(レンジャーズ)らがはね返せるし、裏へのボールはGKルイ・パトリシオ(スポルティング)が処理できる。ロナウドは中央でのチェックにはA.シルバと同様に参加するが、全体が引けばA.シルバが下がり、ロナウドは前めに残ってカウンターの機をうかがう形になる。

 ボールを奪ったら第一の優先事項はロナウドに素早く縦のボールを付けること。一発で通せればカウンターで攻め切ってしまうが、相手の守備がそろっていればA.シルバがポストに入り、ジョアン・マリオ(ウェストハム)、ベルナルド・シルバ(マンチェスターC)、モウティーニョ(モナコ)の3人でパスを繋ぎ、ウィリアム・カルバーリョ(スポルティング)がボールを奪われた場合のリスクに備えつつ、バックパスを左右に大きく展開して攻撃に幅をもたらす。両SBは守備時より高めのポジションを取り、基本的にサイドMFよりやや低い位置からタイミングを見て追い越し、W.カルバーリョやモウティーニョからボールを受ける。ポゼッションからのクロスであれば、逆側のサイドMFがファーサイドに飛び込むのが鉄則だ。


■チーム戦術新解釈 攻⇄守4局面解説
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Photos: Getty Images

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ポルトガルロシアW杯

Profile

河治 良幸

『エル・ゴラッソ』創刊に携わり日本代表を担当。Jリーグから欧州に代表戦まで、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。セガ『WCCF』選手カードを手がけ、後継の『FOOTISTA』ではJリーグ選手を担当。『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(小社刊)など著書多数。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才能”」に監修として参加。タグマにてサッカー専用サイト【KAWAJIうぉっち】を運営中。