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「捕まらないように動く」異質な大型FW。磐田の超新星、後藤啓介が見据える未来

2023.07.15

ジュビロ磐田の18歳、後藤啓介がJ2で19試合5得点と貴重な経験を積み重ねている。アカデミー出身の大型FWはプロの環境で何を考え、どう成長してきているのか――? ウェストハムからの関心も伝えられる逸材の「今」を河治良幸氏に伝えてもらおう。

 現役高校生にして、J2のジュビロ磐田でリーグ戦5得点を記録している後藤啓介。磐田の超新星は「目標はW杯で優勝すること」と語るが、自分が今できること・足りないことに向き合いながら、試合を重ねるごとに成長を見せている。

 「1年目ですけど、うまい選手たちが周りにたくさんいるので、その選手たちからいいところを盗みながらやっていくのが、自分が今やるべきことかなと。その後のことは、そこに行ってみないとわからない。その時に、自分より上の選手を見て、どんどんその選手たちを超えていけたらなと思います」

 6月3日に18歳の誕生日を迎えた後藤。これまで1つ上の年代別代表に招集されるなど、2005年生まれの選手ではMF早川隼平(浦和レッズユース)やDF髙橋仁胡(バルセロナ・フニベールA)などと並ぶ、同世代の代表チームで中心を担うべき選手であると同時に、来年夏に本大会を迎えるパリ五輪にメンバー入りしてもおかしくない期待のタレントだ。

Photo: Takahiro Fujii

 実は、後藤は2003年生まれの選手を中心とした先日のU-20W杯に、髙橋仁胡とともに“飛び級”で選ばれる可能性があった。冨樫剛一監督もメンバー発表前の視察に、後藤がスタメン出場した味スタの東京ヴェルディ戦を選んだが、その試合で後藤は後半の立ち上がりに足首を負傷してしまう。結局、後藤がメンバーに選ばれることはなかった。結果的にグループステージ敗退に終わってしまったこともあり、「もしFWに後藤がいたら……」というタラレバを考えてしまうが、後藤自身は「僕はパリに行く」と前向きに切り替えていた。

成長を支える向上心。課題はフィジカル

 「シーズンを通しては10ゴール以上に絡めればいいと思っています」と開幕前からシーズンの目標を掲げていた後藤。191cmというサイズが1つの特長だが、基本のプレースタイルはあまり高さに頼らず、瞬間的な動き出しでディフェンスを外したり、タイミングよくフリーでラストパスに合わせるなど、巧妙さを武器とするストライカーだ。長身ではあるが、もともとボランチでもプレーしており、機動力やボールを奪い行く守備には自信を持っており、それらは前線でも生かされている。……

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ジュビロ磐田後藤啓介

Profile

河治 良幸

『エル・ゴラッソ』創刊に携わり日本代表を担当。Jリーグから欧州に代表戦まで、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。セガ『WCCF』選手カードを手がけ、後継の『FOOTISTA』ではJリーグ選手を担当。『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(小社刊)など著書多数。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才能”」に監修として参加。タグマにてサッカー専用サイト【KAWAJIうぉっち】を運営中。

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