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「たまにファンの方に嫌な顔をされる時もある」ブンデスの舞台で奮闘する日本人スタッフ、笹原丈が挑む伝統と国際化の両立という困難なミッション【インタビュー後編】

2022.11.01

 ブンデスリーガ1部の1.FCケルンはかつて奥寺康彦がクラブ史に残る活躍を見せ、その後も槙野智章、長澤和輝、大迫勇也がユニフォームに袖を通しているクラブだ。近年は2部降格を経験し1年での昇格後も残留争いが定位置だったが、2021-22に就任したシュテファン・バウムガルト監督が積極的でインテンシティの高いサッカーをチームに植え付け、7位でフィニッシュ。2021-22はUEFAカンファレンスリーグへ出場中だ。

 そんなケルンに現在、クラブの国際マーケットを広げるための人材として日本人スタッフが在籍しているのをご存じだろうか。笹原丈、28歳。トップチームに所属している日本人選手はいない中、なぜクラブは日本人スタッフを必要としているのだろうか。どんな戦略がそこにはあるのだろうか。そもそも、笹原はどんな経歴でケルンへとたどり着いたのだろうか――ドイツ在住の中野吉之伴氏が、本人を直撃。インタビューを前後半に分けてお届けする後編。

前編へ

たった1人での戦い

それこそ今の時代はSNSが普及して、ブンデスリーガのいろんなクラブが日本語で発信したりしていますが、その先を行こうっていうことですね。

 「そうですね。もう本当に接しやすいじゃないですけど、関わりやすいクラブにしたいなと。本当に素晴らしいビッグクラブですけど、バイエルンやドルトムントとかだともう手が届かないクラブという感じになるんじゃないかと思います。それよりももうちょっと、身近で入りやすいクラブっていうのを目指していますね」

確かにケルンのスタジアムって独特ですよね、空気感とかも。でも、それはなんでだろう?って言われたら言葉にはしづらいところがありますよね。《熱狂》って言ったらそうなんだけど、それを言ったらブンデスリーガどのクラブのファンも熱狂的ですからね。ドルトムントのそれと、ドレスデンのそれとは違うし、ケルンのスタジアムにある熱狂もやっぱり違う。

 「あれを言葉じゃ言い表せないじゃないすか。それはドイツでもそう言われていて、何が『他とは違う感じ方』なのかの説明する時に、言葉にするのは難しいので実際に感じていただくのが一番で、そこが課題ですね」

そうした点から見て、昨シーズンのビーレフェルト戦で行われたイベントというのは成功でしたか?

 「成功したと自分では思っていますけど、100%じゃなかったかなっていうのもあります。ただ、パーフェクトっていうのはないのかなというのは思っています。やろうと思えば本当にいくらでもできるし、限度がない。

 自分ができることは全部やらせてもらいました。でも、それをやっただけじゃいけないので次に繋がって、本当にスポンサーさんがいつか、あのクラブとできればなって思ってもらえるようにやっていきたいです」

ケルンの日本担当部署というのは笹原さん1人なんですか

 「1人ですね。アジア担当の方がいるわけでも、国際担当の方がいるわけでもなくて、僕1人で日本だけじゃなくて国際的なことをやらせてもらっています」

ケルンが必要としているからフロントスタッフとして呼んでもらったということ、結果を出さなきゃいけないというプレッシャーもありますか?

 「もちろんありますよ、もちろん。プレッシャーはめちゃくちゃあります。本当に自分がいつも思うのは、必要だから自分を取ってくれたわけなので。結果を出さないといけないなと」

具体的な結果としてさっきスポンサーの話が出ました、どこまでを自分として出せる結果だと思っていますか?

 「例えば、クラブがブンデスリーガで優勝するっていうのは、今の状況だと正直現実的ではないですよね。自分ができる範囲でやっていけたらなと思っています。ブンデスリーガのクラブも1つの企業と変わらないので、本当にお金が入ってナンボではあります。お金がなかったらビジネスはできませんので、売り上げを上げていくことでクラブに貢献できたらいいと思っています」

―先ほど試合当日の話も出ましたが、当日はどんな仕事しているんですか

 「試合の日によりますね。先ほどお話したようなイベントを自分がやらせていただいている時は、もうつきっきりで。逆に、本当に何もない日は仕事はなくて、普通に一般のファンとしてスタジアムに行くこともあるくらいです。仕事の一例を挙げると、誰か国際的なお客様などが来てくれた時には、スタジアムの中で同行してご案内したりします」

重圧とやりがいと

すこし根源的な質問になりますが、笹原さんから見てブンデスリーガの魅力って何でしょう……

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ケルン

Profile

中野 吉之伴

1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。