SPECIAL

下馬評覆しCL4強。バイエルンを撃破したビジャレアルの“守備”の極意

2022.04.19

CL準々決勝でバイエルン相手に勝利。人々を驚かせたビジャレアルはいかにしてドイツ王者を打ち倒したのか。2試合を1失点でしのいだウナイ・エメリ率いるチームの、高度に組織された守備戦術にフォーカスを当てる。

 CL準々決勝で波乱が起きた。フースバル・アレナ・ミュンヘンで24本ものシュートを浴びながらも、その嵐のような猛攻を凌ぎ切ったビジャレアルが2戦合計2-1で、優勝候補の一角であるバイエルンを沈めベスト4へと駒を進めたのだ。

 リーグ戦におけるビジャレアルは平均ポゼッション率58.1%(リーグ4位)と、丁寧にボールを繋いで攻撃を組み立てるスタイルで試合を運んでいる。

 その反面バイエルン戦では第1レグ40%、第2レグ35%と普段のようなボール保持を捨て、守備の面でバイエルンを苦しめ、勝利を手にして見せた。戦い方の幅の広さが際立ったとも言える。

 今回はビジャレアルの守備面を中心に、彼らの戦術を紐解いていく。

第1レグでの勇気あるハイライン&プレッシング

 ホームで行われた第1レグは、強気なハイライン&プレッシングでバイエルンを苦しめた。この試合の守備においてポイントとなったのは、

・キミッヒへの対応
・ノイアーへの対応
・高いDFライン設定およびロングボール対応

である。

 ビジャレアルはフラットな[4-4-2]を採用している。このシステム上、そしてバイエルンを相手にするうえでポイントとなるのがジョシュア・キミッヒへの対応だ。

 バイエルンのビルドアップの中心となるキミッヒを抑えるべく、ビジャレアルは基本的にCHのダニ・パレホを1列上げてマークにつかせた。パレホのマークが間に合わなければ2トップがキミッヒへのパスを牽制するようなポジションを取る。敵CHへのこの対応はバイエルン戦のみならず、普段のリーグ戦でも見られるプレッシング方法となる。第1レグをホームで戦ったビジャレアルは、バイエルン相手でも普段と変わらぬ強気なプレッシングを見せたのである。

 彼らのプレッシングはスピードに頼ったものではなく、じわじわとコースを制限ものである。ボールを奪われた瞬間も積極的な奪還が試みられていた。

 また、GKマヌエル・ノイアーへのバックパスを牽制する動きも見せた。ボールと反対サイドのFWがノイアーにアプローチをかけられるような位置を保つことで、ビルドアップのやり直しを阻害したのである。中盤の選手からFWへ、ジェスチャーを交えてGKへのプレスを指示するシーンが散見されたことからも、チームとしての約束となっていたことがうかがえる。

 ノイアー、キミッヒというセンターラインのキープレーヤーを抑えることで効果的な中央攻撃とやり直しを阻害し、バイエルンのビルドアップの精度を大きく落とすことに成功した。

 このプレッシングを行うにあたり、ビジャレアルのDFラインは間延びしないよう極端に高い位置にラインを設定。中盤のスペースやそこに下りるバイエルンの前線メンバーに対し、CBのラウール・アルビオルやパウ・トーレスは積極的に潰しに出ていった。これも普段のリーグ戦で見られる形だ。……

残り:2,324文字/全文:3,617文字 この記事の続きはプレミア会員
のみお読みいただけます

プレミア会員3つの特典

  • 会員限定のオリジナル
    記事が読み放題!

  • 電子版バックナンバーが
    読み放題!

  • 雑誌最新号を毎月
    ご自宅にお届け

1/31まで

footbalista 特製 2023カレンダー プレゼントキャンペーン実施中

TAG

UEFAチャンピオンズリーグビジャレアル

Profile

とんとん

1993年生まれ、長野県在住。愛するクラブはボルシアMG。当時の監督ルシアン・ファブレのサッカーに魅了され戦術の奥深さの虜に。以降は海外の戦術文献を読み漁り知見を広げ、Twitter( @sabaku1132 )でアウトプット。最近開設した戦術分析ブログ~鳥の眼~では、ブンデスリーガや戦術的に強い特徴を持つチームを中心にマッチレビューや組織分析を行う、戦術分析ブロガー。