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Jリーグは何位相当? 欧州トップ20リーグの放映権料から測るJリーグの立ち位置

2022.04.06

昨年の東京五輪で4位となり、A代表は7大会連続となるW杯出場決定。1998年の初出場から22年、着実に歩みを進めてきた日本サッカー界だが、果たしてどれくらいの位置づけにあるのかは気になるところだ。今回は、1つの指標としてリーグの放映権料に着目して現在地を探ってみたい。

 Jリーグのポジションは、世界各国のリーグの中でどのぐらいに位置するのだろうか?

 こうした疑問にたびたび直面するが、明確な答えを得ることはなかなか難しい。そこで今回は、1つの目安として放映権料額に注目してみた。基本的に、ある商品の金額は供給者と購入者の合意の上で成り立っているのだから、購入者がそのコンテンツを買った場合にそれ相応のビジネスになるかならないかを判断した上で納得できる額になっているもの。ゆえに放映権料も、その国のリーグの魅力や規模を客観的に示す1つの指標と見て取ることができるはずだ。

 3月16日付『シュポルト・ビルト』誌が、2022年現在の欧州各国のテレビ放映権料をまとめて紹介していた。イングランドのプレミアリーグやスペインのラ・リーガの放映権料は特に高額で目を引くこともあってたびたび記事として取り上げられるが、欧州全体を見渡すと放映権料の実情が見えてくる。この数字を基に比較していくことで、現在のJリーグの立ち位置を確認してみよう。

欧州5大リーグ=欧州5大テレビ放映権料リーグ

 同誌では、欧州トップ20が紹介されている。この20カ国の国内放映権料の総額は、1シーズンあたり69億1000万ユーロ(約9329億円)。このうち83%に当たる57億6000万ユーロ(約7776億円)を欧州5大リーグが占める。イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランスの欧州5大リーグは、そのまま欧州5大テレビ放映権料リーグと言い換えることができる。

 この5カ国についてさらに見ていくと、20億ユーロ(約2700億円)のイングランドが頭一つ抜けており、2位のスペイン(11億5200万ユーロ/約1555億円)に倍近い差をつけている。ただ、スペインに関しては新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、2022-23シーズンからは9億9000万ユーロ(約1337億円)へダウンすると見られている。そうなった場合には、3位のドイツ・ブンデスリーガの11億ユーロ(約1485億円)を下回り順位が入れ替わることとなる。4位はイタリア・セリエAの9億2800万ユーロ(約1253億円)、5位フランス・リーグ1の5億8000万ユーロ(約783億円)が続く。フランスは、2020-21シーズンまで放映権料の49.7%を担っていた『Mediapro』がシーズン途中に支払い不可能になったため大幅な減額となった。現在は『Amazon Prime Video』がその放映権を上記の額で引き取っている。

 これだけではない。国外放映権料を含めると、このトップ5の中にもさらに大きな格差があることがわかる。1位のプレミアリーグが16億ユーロ(約2160億円)、2位のラ・リーガは8億9700万ユーロ(約1211億円)に上るのに対し、3位のセリエAが2億5000万ユーロ(約338億円)、4位のドイツ・ブンデスリーガも2億ユーロ(約270億円)と大きく水を開けられており、5位のリーグ1は8000万ユーロ(約108億円)にとどまっている。

 この放映権料収入の差は、各国リーグの競争力にも影響を及ぼしている。例えば、若干古い数字になるが『南ドイツ新聞』によれば、ドイツでは2019-20シーズンに最も分配金を受けていたのがバイエルンで1億1300万ユーロ(約153億円)。一方で、最下位のパダーボルンは2950万ユーロ(約40億円)と3.8倍もの開きがある。2018-19シーズンのスペインでは1位のバルセロナが1億6650万ユーロ(約225億円)、最下位のウエスカが4420万ユーロ(約60億円)と同じくほぼ3.8倍の差がある。

 その一方で、2018-19シーズンのプレミアリーグではトップだったリバプールの1億6220万ユーロ(約219億円)に対し最下位ハダースフィールドが1億80万ユーロ(約146億円)でその差わずか1.64倍とほぼ均等に分配されており、他国に比べて国内リーグの競争力が均衡していることがわかる。ちなみに、ドイツ王者バイエルンへの分配金はイングランドで14番目のボーンマスへの分配金とほぼ同額。リーグ全体の経済規模を把握する上で、こうした比較はある程度の判断材料として有用となるだろう。

Jリーグの位置は…

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Jリーグビジネス放映権料

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。