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ペドリはなぜケガをしなくなったのか。「休まない」が鍵?立役者トウスが掲げる「神経筋の強化」とは?

2025.05.09

サッカーを笑え #41

たび重なるケガに悩まされてきた22歳のMFが今季はフル稼働。ここまで欠場1試合のみでチーム最多の公式戦55試合(+スペイン代表戦8試合)に出場し、キャリア最高の輝きを放っている。この完全復活を陰で支えるのが、フリオ・トウス率いるバルセロナのフィジカルスタッフだ。

負傷癖を克服、そしていつになく走っている

 CL準決勝第1レグ、バルセロナ対インテルの後、トニ・クロースは「バルサにとって最も重要なのはラミン(・ヤマル)でもラフィーニャでもレバンドフスキでもなくペドリだ」と言った。ホルヘ・サンパオリも自分のチームに連れ帰れるとしたら「ペドリを選ぶ」と言っている。

 ペドリは復活した。

 移籍情報サイト『Transfermarkt』によると、3月更新の市場価値は1億2000万ユーロ(約192億円)、自身史上最高を記録した。2021年夏、クラブ、EURO、五輪でフル稼働した直後にケガをして以来、計8度の負傷に苦しみ、21-22〜23-24の3季で436日間プレーできなかった彼が、今季はEURO2024でのそのクロースのタックルによる捻挫だけで、レギュラーシーズンに入ってからは一度もケガをしていない。打撃系の負傷は仕方がないが、癖になっていた筋肉系の負傷からは完全に「回復」、いや正確に言えば、ケガが癒え再発をしなくなったというだけではなく、今はキャリア最高に輝いている。

4月にはリーガの月間最優秀選手賞を受賞。今季ここまで公式戦55試合で6ゴール7アシストを記録する22歳は、1月末に2030年までの新契約を締結している

 ペドリはいつになく走っている。

 ハイスピードでのスプリント回数は20回/1試合で昨季の14回よりも大幅アップ。いや彼だけではなくチームメイトも走っており、チームのスプリント回数も昨季の230回/1試合から今季は264回と伸びた(ちなみにメッシ、ルイス・スアレスのいた19-20は200回だった。以上スプリントの数字は『ESPN』3月13日の記事より)。

 フリック監督のスタイル=ハイライン&ハイプレスが、インテンシティの高いスプリントを要求するスタイルであることは疑いなく、2冠獲得(スペイン・スーパーカップ、コパ・デルレイ)、 リーガで首位、CL準決勝進出は、ケガをせず疲れなく走り続けることができたからこそ達成できたことにも疑いはない。

 そこでペドリとバルセロナ復活の陰の立役者として脚光を浴びつつあるのが、フリオ・トウス率いるフィジカルスタッフである。

自信満々!トウスのフィロソフィ

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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