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遠藤航の将来像「迷ったら奪いに行く、迷ったらボックス内まで入って行くという姿勢が大事」独占インタビュー後編

2021.12.19

今年9月に初の自伝『「楽しい」から強くなれる プロサッカー選手になるために僕が大切にしてきたこと』(ハーパーコリンズ・ジャパン)を上梓した遠藤航。ここでは、その後3カ月の間に向き合ってきたチャレンジの続き――全6試合にフル出場したW杯アジア最終予選、新キャプテンに任命されたシュツットガルト3シーズン目の舞台裏から、MFとしての将来像や4児の父としてのプライベート秘話、勝負の2022年に向けた意気込みまで、ピッチの内外で“当たり負けしない”28歳の日本代表が現在の胸の内を明かしてくれた。12月3日収録の独占インタビューを前後編でお届けする(【前編】遠藤航の自然体「4-2-3-1でも4-3-3でも、自分たちがやるサッカーは変わらない」から続く)。

アンカーとして、インサイドハーフとして

「最後まで何回ボックスに入れるかを意識しながらやっています」

――今回の自伝では、サッカーよりも大切で、時には心を癒してくれる存在でもある家族への思いにも触れられていて、パパになるべくしてパパになったと思える姿も垣間見ることができるのだけど、その遠藤ファミリー宅での普段の持ち場は?

 「家事は完全に妻に任せてしまっていて、たまに食洗機のスイッチを入れたりする程度です(苦笑)。子供のシャワーや歯磨きは僕の担当で、4人を一気に風呂に入れる時にはちょっとしたハードワークかもしれないですけど」

――ヨーロッパでは再びコロナウイルス対策で規制が強まり始めているけど、ドイツ国内がロックダウン状態で、試合もチーム練習もなかった時期に、学校が閉まっていた子供4人も一緒の自宅でコンディション管理のために日課をこなすのは難しくなかった?

 「僕は、あえて何も考えずに生活していました。クラブからはエクササイズのメニューを渡されていて、欠かさずにこなしてもいましたけど、時間帯は決めずにその日の気分次第でしたね。食事に関しても、体を動かさないから自然と食べる量が普段より減ってしまうので、体重が落ち過ぎないように気をつけていたくらい。自分の場合は、以前からあまり特別なルーティンを決めたりせずにやる方が、逆に目標達成に繋がりやすいという感覚があるんです。

 そもそも子供4人の家族だと、普段から自分で決めたルーティンに沿って生活すること自体が難しい。どうしても家庭での時間は子供中心で流れていくし、それでも例えば語学の勉強に当てる時間を確保したいと思ってテキストを開くと、狙い済ましたようなタイミングで『パパ、遊ぼう!』って言われたりしますから(笑)。僕はプライベートの時間を含めて、自然な状態のままサッカーもできるのがいいんです」

――話を今季のピッチ上に戻すと、東京オリンピックから戻った数日後に訪れたブンデスリーガ開幕戦(8月14日)は、シュツットガルトにとって1部では2011年以来となる白星スタート。ホームでグロイター・フュルトを相手に大勝(5-1)を収めた90分間では、新キャプテンとして先制ゴールも決めて気持ちのリセットが進んだのではないかと思うけど、スルーパスに反応してGKとの1対1から冷静に決めた1点は、自身の新たなベストゴール候補?……

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シュツットガルト日本代表遠藤航

Profile

山中 忍

1966年生まれ。青山学院大学卒。90年代からの西ロンドンが人生で最も長い定住の地。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』『バルサ・コンプレックス』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

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