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Jリーグの「偽SB」を考える。 川崎、鳥栖、昨季のC大阪の違いとは?

2021.03.17

ポステコグルー監督の横浜F・マリノスが契機となった、Jリーグと「偽SB」の出会い。2021シーズン現在、複数チームに中央寄りでプレーするSBが登場し、もはや珍しい存在ではなくなった感もあるが、誰が偽SBで誰がそうでないのかは解釈が揺れている。そこで本誌『戦術リストランテ』でお馴染みの西部謙司氏にJリーグの偽SB事情を聞いてみた。

 Jリーグに初めて「偽SB」が登場したのは2018年、アンジェ・ポステコグルー監督が就任した横浜F・マリノスだった。それ以前も、対面の相手との関係で内側にポジションを取るSBはあったが、チーム戦術として組み込んだのは横浜FMが最初だった。

そもそも「偽SB」の定義とは?

 偽SBは偽9番の連想から生まれた言葉だろう。「偽」なのは、立ち位置が従来の大外レーンではないことが1つ。もう1つは、プレーヤーのキャラクターがSB的でない、あるいは従来のSBを超えているということ。「立ち位置」と「個性」が重なった時に、わかりにくい表現で恐縮だが、「本物の偽SB」になるわけだ。

 立ち位置がハーフスペースになっている第一目的はボールの確保だ。

 自分のいるレーンに相手がいる場合に、正対しないで自分の前方を開けるためにインサイドにポジショニングするSBは以前からいた。ただ、それは個人戦術の域を出ない。チーム戦術としての偽SBには当然チームとしての意味がある。

 ボールを保持しているCBとの距離を近づけてボールの確保を容易にすると同時に、大外レーンへのパスコースを開けるのがチームとしての意味になる。

 2018年の横浜FMでは、山中亮輔、松原健のSBが立ち位置変化に対応できる資質を持っていた一方でウイングは物足りなかった。グアルディオラ監督がバイエルンで偽SBを導入した時のウイングはフランク・リベリーとアリエン・ロッベンだ。世界の「ロベリー」がいたので、ウイングへの供給路を開ける意味も大きかったわけだ。逆にそこが物足りないとなると偽SBの意味は半減してしまう。……

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Jリーグ戦術

Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。