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ウルグアイサッカー界が抱える不安。オスカル・タバレス監督を解雇

2020.03.30

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、3月27日、AUF(ウルグアイサッカー協会)が重大な声明を発表した。オスカル・タバレス監督を含むウルグアイサッカー代表のスタッフ、及び協会の職員400名に対し、4月1日から失業保険を受給できるようにするために一時的に「解雇」を通達したというのだ。

7万人が失業保険の給付を求める

 新型コロナウイルス感染拡大により、経済的に大きな打撃を受けているウルグアイ。サッカーの試合を含むイベントの中止が与えた影響はもちろん、観光業を重要な収入源とする国でありながら、世界各国で渡航制限が始まり、やがて外国人の入国を禁じる国境閉鎖も余儀なくされたため、国内の経済活動は一気に停滞。全土に向けて発令された外出自粛令も重なり、3月1日から26日までの間に約7万人の労働者が失業保険給付手続きを行うという結果を招いている。

 これはウルグアイの総人口350万人のうち2%にあたる数字で、日本に当てはめた場合、250万人もの国民が1カ月も経たない間に職を失った計算になる。今回AUFが取った措置は非常に厳しいものだが、他に解決策を見出すことができない社会の流れに沿う形となった。

 この決断にはタバレス監督を始め、代表チームのスタッフ一同も同意と団結の意思を伝えたという。

W杯予選延期で資金繰りが悪化

 それにしても、南米大陸内で最初の感染が確認されてからほんの1カ月足らずの間に、タバレス監督以下代表チームのスタッフらを一時的に解雇しなければならないほどAUFが財政難に陥った理由は一体どこにあるのか。

 同国の有力紙『エル・パイス』が報じた内容によると、最も決定的となったのはW杯予選の延期だった。3月26日に予定されていたホームでの予選開幕戦(vsチリ戦)が延期となったことで興行収入が得られず、さらに予選の放映権をめぐる交渉が成立する前に延期決定となった経緯から、AUFの運営に欠かせない放映料もまだ入って来ていない。この結果、協会の資金繰りが大幅に狂う事態を招いてしまったのである。

 もちろんこの「解雇」はいわゆる「レイオフ」と呼ばれる一時的な救済措置であり、1カ月後にはタバレス監督とそのスタッフ一同も再び職場に復帰する予定だが、感染が日に日に広がる一方にある中、すでに協会では国内のリーグ戦再開の見込みについて「早くても6月初旬」という見解を示しており、解雇期間は2カ月間に及ぶのではないかという見方が強い。

 『エル・パイス』紙によれば、400人の職員の2カ月分の給与支払いを逃れることにより、AUFはおよそ100万ドルを節約できるという。

 ウルグアイではプロサッカー選手たちの中にも失業保険給付手続きを済ませたケースが少なくない上、2部リーグにはアマチュア契約をしている選手も多く、その場合は失業保険の対象にもならない。南米の小さなサッカー大国は今、前例のない危機に直面している。


Photo: Getty Images

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ウルグアイ代表オスカル・タバレスコロナウイルス解任

Profile

Chizuru de Garcia

89年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。