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セリエA順延分は無観客開催に。コロナウイルス対策の効果は?

2020.03.07

 レガ・セリエAは3月5日、新型コロナウイルス(COVID-19)感染対策によって延期となっていたセリエA第26節の6試合を、3月8日と9日に無観客で開催すると発表した。

紆余曲折の末、無観客開催に

 ユベントスvsインテルを始めとする6試合は当初、2月29日〜3月1日に予定されていた。ところがウイルスの感染拡大が始まり、イタリア政府ならびにウイルスの伝染地域を抱える4州の要請に従い、いったんは無観客開催を決定。しかし各クラブから観客を入れての開催要請が相次いだため、レガ・セリエAは2月29日朝になって急きょ5月13日への延期を言い出した。

 しかし、代替開催日をリーグ戦の終盤にねじ込んだことには各クラブ関係者からも疑問の声が相次ぎ、インテルのジュセッペ・マロッタCEOに至っては「レガ・セリエAから 何の相談もなく 試合の数時間前に日程変更を決められ、競技の面ではまったくバランスが取れていない。もはやリーグ戦は歪められた」と強烈に批判していた。

 その後、ウイルス感染者の急激な増加を受け、イタリア政府は対策の強化を決定。3月4日に緊急法令を承認・発布し、「不特定多数が集まるイベントや会議などを向こう30日間自粛せよ」と要請を出したのだ。

 プロスポーツに関しては、衛生を保つ為の条件を満たした上で、観客に対し非公開での練習や試合の開催を許可した。その結果、セリエAも正式に無観客開催を行うこととなった。期間はさしあたって4月3日までとなる。

感染予防のための21カ条

 イタリアスポーツ医師連盟(FSMI)は、21カ条の感染予防対策を次のように掲げた。基本的にはこれに沿って練習や試合などが行われることになる。

1.  同じボトルから飲料を飲まないこと
2.  ロッカールームで物を食べないこと
3.  汚れた物は鞄の中にしまい、ロッカールームや共通のカゴの中に置かないようにすること
4.  紙やテープなどはすぐ屑入れに捨てること
5.  できる限り多くの頻度で手を洗うこと。水と石鹸で最低20秒間、もしくは消毒液を使用
6.  共用の蛇口を使用する時は直に蛇口には触れず、ウエットティッシュなどを使用すること
7.  ロッカールームのトイレの前などには自動供給型の消毒剤の設置を推奨
8.  洗っていない手で目や鼻を触らないこと
9.  咳やくしゃみはティッシュか腕で口を覆い、手では触れないこと
10. よく換気をすること
11. テーブルやベンチ、蛇口やタオルハンガーなどをよく消毒すること
12. 熱や呼吸器炎の症状が見られた場合は、ただちにチームを離脱し医師に連絡すること
13. まだインフルエンザの予防注射をしていない者はできる限り早く接種すること
14. 感染制限区域に出入りした人物と接触した場合はすぐに連絡すること
15. 代表チームには健康状態を診る医師を常駐させること
16. 遠征の場合、医師は国の基準に従って出入国の状態を管理すること
17. 表彰式は行わないこと
18. インタビューはマイク1本で。複数がマイクを近付けての囲み取材をしないこと
19. スクリーニング検査をスポーツ医師にしてもらうこと
20. プールでは水質をモニタリングすること
21. スタジアムから出る場合は車やバスを使用し、ファンとの接触は避けること

 しかし懸念は残る。手洗いやロッカールームでの飲食など、習慣上難しい項目もあり(通常は軽食が用意されている)、アスリートはそれなりの感染リスクにさらされているとも言える。イタリアサッカー選手協会のダミアーノ・トンマージ会長は『ANSA通信』のインタビューで「不安を抱えている選手が半分くらいいる」と説明するとともに「ウイルスはイタリアだけの問題でもなくなっているから、欧州サッカー連盟(UEFA)は欧州選手権の延期も検討するべきではないか」と、欧州全土にわたるドラスティックな対策の必要性を説いている。


Photo: Getty Images

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イタリアインテルコロナウイルスユベントス順延

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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