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4失点で批判が集中…ビッグクラブの守護神に求める基準の高さとは

2022.09.05

 9月3日に行われたセルティックとレンジャーズによる今季最初の“オールドファーム”は、ホームのセルティックが4-0で圧勝する結果となった。

 セルティックは開始直後にエースの日本代表FW古橋亨梧(27歳)が肩を痛めて負傷交代するアクシデントがありながら、大量4ゴールを奪って開幕6連勝。まだシーズンは始まったばかりだが、既に宿敵レンジャーズに5ポイント差をつけており、リーグ連覇に向けて視界良好だ。ちなみに、この両者の対戦で4点以上もの差がつくのは実に4年ぶりのことだという。

 試合後、敗れたレンジャーズのジョバンニ・ファン・ブロンクホルスト監督は、スローインやFKのリスタート時に集中を欠いて失点したことを悔やみ、「失点することはあっても、こんな形での失点は許されない。警戒していた部分でやられた。ファンに申し訳ない」と敗戦の弁を述べた。これだけ大差がつくと、当然レンジャーズに対する地元メディアの風当たりは強くなる。CBや新戦力をケガで欠いていたとはいえ、批判は免れない。中でも、最も矢面に立たされたのはGKである。

日本とは違うGKへの考え

 今季からレンジャーズは、GKジョン・マクラフリン(34歳)がゴールマウスを守っているが、ここにきて40歳のGKアラン・マグレガーの“守護神復帰”を願う声が強まっている。昨季まで正GKを任されていたマグレガーだが、40歳を超えて現役引退も噂に出た。昨季はリーグ戦と準優勝したUEFAヨーロッパリーグで定位置を任されていたが、スコットランドカップは控えのマクラフリンに譲っていた。しかし、シーズン最後のゲームとなった同大会の決勝戦では、ベンチスタートながら終了間際に登場してサポーターから拍手喝采を浴びたのだ。誰もが「最後の晴れ舞台」と思ったはずだ。しかし、今オフに数週間ほど休んだ後、「まだ続けたい」として1年の契約を延長したのだ。

 そして今、40歳のマグレガーに期待する声が高まっている。冒頭のセルティック戦で4失点を喫したGKマクラフリンだが、そのうち明らかにGKの責任と言えるのは4点目だろう。最終ラインでボールをつなぐ際に、パスカットされてそのままゴールを奪われてしまったのだ。しかし、地元紙『Daily Record』は「マクラフリンは4失点目で大失態を演じたが、最初の3失点に関しても、もう少し何かできなかっただろうか? できたはずだ」と厳しく批評した。

 最初の3失点は、私たち日本人からすると仕方がないように感じてしまう。2本はPKスポット付近の至近距離から決められたものだし、もう1つはジョタの技ありループだった。しかし、現地での考え方は違うようだ。3失点のうち2本はボールに触れており、その場合は「触れるのが精一杯」と考えるのではなく「触れたからには何とかできる可能性があった」と考えるようだ。少なくとも、止められるGKは世の中にいるという発想に至るのだ。

 元レンジャーズのニール・マッキャンも「マグレガーならセルティックのゴールを2点くらいは防いだはず」と失点シーンを振り返っている。そして『BBC』も、記事の中で「2度もシュートに力負け」と指摘しており、ビッグクラブの守護神に求める基準の高さがうかがえる。

「ビッグプレーヤーが必要」

 そして、マグレガーを望む理由は他にもあるそうだ。それはチームにもたらす安心感だ。マクラフリンは、イングランドの5部以下のノンリーグでキャリアをスタートさせ、レンジャーズに加入する前もイングランド3部でプレーしていた。そのため大舞台での経験値を疑問視するサポーターは少なくなかった。本人も「私がベンチに追いやっている選手(マグレガー)の存在を考えると、重圧と周りの目は厳しいかもしれない」と吐露したことがあった。

 そんなマクラフリンに対し、マグレガーはレンジャーズで通算470試合の出場を誇るレジェンド。昨季は少し失点数が増えていたが、それでもリーグ戦での1試合の平均失点数(0.9)を見ると、今季のマクラフリンの「1.2失点」よりも少なかった。

 だから40歳を超えているとはいえ、酸いも甘いも知り尽くした男に期待したくなるのだ。「ファン・ブロンクホルストはいくつか決断を迫られるだろう。そのうちの1つがGKだ」とレンジャーズOBのクリス・ボイドは『Sky Sports』にて言及する。「ビッグプレーヤーが必要なんだ。(ダービーに大敗した)こういう状況下では、胸を張って存在感を発揮してくれる者が必要だ。マグレガーを正GKに戻すかもしれない」

ベンチに座る控えGKマグレガー。40歳の男が守護神に返り咲くことになるのか

 レンジャーズの次のゲームは、12シーズンぶりの出場となるUEFAチャンピオンズリーグの大舞台。9月7日のアヤックス戦だ。その時、誰がゴールマウスを守っているのだろうか。求められる基準があまりにも高い“ビッグクラブの守護神”に注目したい。


Photos: Getty Images

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ジョバンニ・ファン・ブロンクホルストセルティックレンジャーズ古橋亨梧

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。