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年齢上昇、ホームチームの復活…今季のプレミアリーグのトレンドとは?

2022.05.29

 マンチェスター・シティの劇的な2連覇で幕を閉じたプレミアリーグ。今季も見応え満点の激闘が繰り広げられたが、そんな今季の“トレンド”はどうだったのか。『Sky Sports』が振り返っているので紹介しよう。

若年化に歯止めがかかる

 近年のプレミアリーグは若年化が進んでいたが、今季はそれに歯止めがかかったという。過去5シーズン、スタメン選手の平均年齢は低下傾向にあり、2016-17シーズンの「27.86歳」から昨季は「27.05歳」まで下がっていたという。しかし今季は、そこから「27.28歳」に盛り返した。

 今季の最年少チームは、生え抜きの若手に加えてDF冨安健洋(23歳)、GKアーロン・ラムズデール(24歳)、MFマルティン・ウーデゴール(23歳)、MFサンビ・ロコンガ(22歳)を補強したアーセナル。スタメンの平均年齢は「24.84歳」で、次に若かったブレントフォード(25.85歳)より1歳以上も若く、2010-11シーズンからの過去11年間で3番目に若い平均年齢だった。

 しかし、ここ数年ほど大幅なメンバー変更がなかったリバプールなどの平均年齢が上がったことで、リーグ全体の年齢層も上がる結果になった。さらにマンチェスター・ユナイテッドのFWクリスティアーノ・ロナウド(37歳)やチェルシーのDFチアゴ・シウバ(37歳)といったベテランの活躍も平均年齢の上昇につながっただろう。

 やはりサッカーというのは若すぎても、年齢を重ね過ぎても良い結果を残すのは難しいようで、過去11シーズンのうち平均26歳未満で勝ち点80を超えたのは2016-17シーズンのトッテナムだけ。一方で、29歳以上のスタメンで80ポイントを超えたチームは1つもないという。

運動量だけでは勝てない時代

 また、運動量だけでは勝てない時代に突入したようだ。ユルゲン・クロップは2015年にリバプールの監督に就任した際に運動量の強化を図った。優勝争いに絡んだマウリシオ・ポチェッティーノ政権時代のトッテナムも圧倒的な運動量を誇ったが、今季の走行距離トップ3を見るとノリッジ(20位で降格)、ブレントフォード(13位)、バーンリー(18位で降格)となっている。上位勢では優勝したマンチェスターCが走行距離ランクでもトップ5に入ったが、2位リバプールは13番目、3位チェルシーに至っては19番目だった。

 同じことがスプリント数にも表れており、最多スプリントを記録したのは17位に低迷したリーズで6495回。彼らは他のチームに1000回以上もの差をつける断トツだった。2番目に多かったのは最下位のノリッジ(5285回)。しかし3番目には2位のリバプール(5277回)がランクインしており、スプリントは、やはり回数よりも質が重要なのだろう。

 一方で、高い位置でのボール奪取は相変わらず効果的で、同ランキングではリバプールとマンチェスターCがトップ2に入り、クラブ史上初めてプレミアリーグのトップ10(9位)に入ったグレアム・ポッター監督のブライトンが3番目に多かった。さらに今季はクロスも成功の鍵となっており、クロスとCKの合計数がシーズン800本を超えたのはリバプールとシティ、そしてビッグ6に次いで7位と健闘したウェストハムの3チームだった。

 最後に、やはりサポーターの影響は絶大だった。コロナ禍の影響で、シーズン最後の数試合まで無観客が続いた昨季は、イングランドリーグ133年の歴史において初めてアウェイチーム(勝率40.26%)が勝利数でホームチーム(勝率37.89%)を上回る前代未聞の異変が起きた。しかしサポーターが戻ってきた今季はフットボール界も秩序を取り戻したようで、ホームチームが勝率42.89%でアウェイチーム(勝率33.95%)を上回ってみせた。

 さて、来季はどんなドラマ、そしてどんなトレンドが生まれるのか。シーズンが終わったばかりだというのに、既に来季の開幕が待ち遠しくなっている。


Photo: Getty Images

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Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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