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ベルギー、ポルトガルより多忙…メキシコ代表の過密日程は今年も続く

2022.01.02

 新型コロナウイルスの影響が全世界に広がった2020年、サッカー界は国内リーグや代表の試合が中止や延期になるなど大きな影響を受けた。2021年はコロナ禍の中でカレンダーを完遂させるための努力が各方面でなされ、有観客での試合開催も実施されるようになった。代表チームの活動を精力的に行った国もあり、中には月に2試合以上のペースで試合をこなした代表チームもあった。

契約遂行のため過密日程に

 メキシコのオンラインメディア『mediotiempo』によると、2021年のメキシコ代表チームは1年間で24試合を戦った。これはカタールとエルサルバドルの25試合に次いで多い数字だという。その内訳は、CONCACAFネーションズリーグ2試合、CONCACAFゴールドカップ6試合、カタールW杯予選8試合、そして国際親善試合が8試合となっている。

 CONCACAFネーションズリーグは2019年に新設された大会で、西暦奇数年9月から偶数年6月にかけて行われる予定だった。しかし2020年の決勝ラウンドが延期となり、2021年6月に準決勝と決勝が行われた。なお、このスケジュール変更により、第2回大会は偶数年(=2022年)6月開幕に変更になっている。

 CONCACAFゴールドカップは西暦奇数年の隔年開催。こうした大陸内の大会になると、メキシコは決勝まで勝ち進むのが常となっており、今大会でもおよそ3週間で6試合を戦った(ネーションズリーグ、ゴールドカップとも決勝でアメリカに敗北)。

 そして2021年9月からはW杯予選がスタートし、9月、10月に3試合ずつ、11月に2試合を戦って、現状4勝2分2敗の3位につけている。

 これだけ多くの公式戦をこなすなら国際親善試合の数を減らせばいいのだが、そうできない事情がある。メキシコサッカー連盟(FMF)はアメリカMLSのマーケティング部門『Soccer United Marketing(SUM)』との間で、アメリカ国内で国際親善試合を行う契約を結んでいる。しかし2020年に予定されていた試合がキャンセルとなり、FMFは契約を遂行するために、キャンセル分の一部を2021年に移行させたのである。実際、同年の国際親善試合8試合のうち、実に6試合がアメリカ国内で行われた。

2022年も多忙は続く

 ちなみに、メキシコ代表が過去最高に“忙しかった”のは、リカルド・ラ・ボルペ監督が率いていた2005年で、年間26試合を戦った。この時はドイツW杯予選10試合やコンフェデレーションズカップ5試合、ゴールドカップ4試合に加え、7試合の国際親善試合を戦っている。

 また、FIFAランキング上位国の2021年の試合数を見ると、ベルギー代表は17試合、ポルトガル代表は16試合、スペイン代表は18試合、イタリア代表は19試合を戦ったという。これらの数字と比較しても、メキシコ代表の試合数の多さが目立つ。

 そんなメキシコ代表は、2022年も非常に多忙になることが予想される。3月までにカタールW杯予選6試合を戦い、その後はネーションズリーグのグループステージが待っている。また、SUMとの2022年契約分と2020年キャンセル分を合わせ、アメリカ国内で国際親善試合を少なくとも8試合、行わなければならないという。

 そしてカタールW杯への出場が決まれば、年末にカタールで最低3試合、その直前に何試合かのトレーニングマッチをこなすことになる。


Photo: Getty Images

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ベルギー代表ポルトガル代表メキシコ代表リカルド・ラ・ボルペ

Profile

池田 敏明

長野県生まれ、埼玉県育ち。大学院でインカ帝国史を研究し、博士前期課程修了後に海外サッカー専門誌の編集者に。その後、独立してフリーランスのライター、エディター、スペイン語の翻訳家等として活動し、現在に至る。

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